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2022 年度 実施状況報告書

咽頭嚢からの胸腺の分離移動を制御するRipply3の機能モチーフと胚葉特異的役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K07274
研究機関北里大学

研究代表者

大久保 直  北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード咽頭弓 / Ripply3 / 胸腺形成 / 心臓流出路
研究実績の概要

マウスのRipply3は咽頭弓に発現する遺伝子で、Tbx1の転写活性を抑制的に制御する因子と示唆されている。本研究では、Ripply3の配列で進化的に保存されたアミノ酸モチーフ(WRPWとFPVQ)に注目し、それらに変異を導入したノックイン(KI)マウスを作成し、Ripply3 KOマウスの胸腺の表現型と比較することで、各モチーフの機能を顕在化しようと考えた。2022年度は、WRPWをアラニン(AAAA)に置換したWA-KIマウスとFPVQをアラニン(AAAA)に置換したFA-KIマウスの咽頭弓の形態について解析を行った。その結果、どちらのKIホモ胚においても、胎生9.5日では第3咽頭弓の形成不全がみられた。また心臓流出路と背側大動脈をつなぐ第3鰓弓動脈は無いか、もしくは途中で途絶えた痕跡的な動脈が観察された。さらに胎生10.5日では、どちらのKIホモ胚においても第4咽頭弓は十分に形成されず、第4鰓弓動脈も無い、あるいは途中で途絶える傾向がみられた。一方、正常な発生過程では第2鰓弓動脈は、後方の咽頭弓の分節化の進行に伴い退縮するが、KIホモ胚では第3、第4鰓弓動脈が形成されない代わりに、第2鰓弓動脈が残存する傾向がみられた。以上の結果から、WRPWもしくはFPVQに変異を導入すると、Ripply3 KOマウス胚の咽頭弓と似た表現型を示すことが分かった。すなわち、各モチーフへの変異導入は、第3、第4咽頭弓の形成不全を伴って鰓弓動脈のリモデリングパターンを大きく変化させ、その後の心臓流出路形成および咽頭部からの胸腺の分離・移動に多様な影響を及ぼすと考えられた。従って、咽頭弓内胚葉と外胚葉において発現するRipply3はWRPWとFPVQモチーフを介したタンパク質相互作用により極めて重要な働きを担っていることがin vivoで証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度は、Ripply3の胚葉特異的な役割を解明するために、Ripply3 flox マウスを増やし解析を進める予定だったが、新型コロナ感染拡大の影響もあり、Ripply3 floxマウスの繁殖を十分に進めることができなかったため、研究計画はやや遅れていた。現在は、Ripply3の内胚葉特異的な欠損マウスを作成するためのFoxa2-creERマウスの繁殖も進んでいる。今後、内胚葉特異的な Ripply3欠損個体における胸腺および心臓流出路の表現型を解析する。

今後の研究の推進方策

Ripply3 floxマウスとFoxa2-creERマウスを交配し、内胚葉特異的な欠損マウス胚を作成し、咽頭弓および胸腺、心臓流出路の表現型解析を進める。また、Ripply3 WA-KIホモマウスにおいては、生後も生存し続ける個体が少数ではあるが存在するため、それらについて胸腺や心臓の表現型を解析し、その研究成果を論文として発表する。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は、Ripply3の胚葉特異的な役割解明のためのRipply3 flox マウスの繁殖を十分に進めることができなかった。今年度は、Ripply3 floxマウスとFoxa2-creERマウスの繁殖コロニーの拡大に伴う飼育費、およびタモキシフェン投与による内胚葉特異的欠損マウス胚の作成に必要な試薬類、表現型解析に用いるプラスチック製品等の消耗品類の購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Phenotypic analysis of mouse embryos with mutations in two evolutionarily conserved amino acid motifs in Ripply32022

    • 著者名/発表者名
      Ryusuke Ishizuka, Yosuke Kajiyama, Yudai Yabe, Daisuke Narita, Shinji Takada, Tadashi Okubo
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会年会

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公開日: 2023-12-25  

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