研究課題/領域番号 |
19K07285
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
徐 建軍 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (10581689)
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研究分担者 |
亀山 正樹 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60150059)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カルシムチャンネル / 心筋細胞 / イオンチャネル / カルモジュリン / 自己調節 / パッチクランプ法 / Pull-down assay |
研究実績の概要 |
L型 Cav1.2 Ca2+ チャネル (Cav1.2 チャネル) はその活性が精緻に調節されており、その不調は心筋では不整脈、神経系ではてんかん、精神疾患などの病気を引き起こす。それらの病態の理解には、チャネル調節機構を明らかにして病態を分子レベルで解明することが重要である。この研究は、チャネルの細胞内領域による自己調節機構の分子機構を解明し、同チャネルが関与する病態の解明に寄与することを目指している。 我々は、これまでの研究で、カルモジュリン(CaM)がCav1.2チャネルと相互作用してチャネル活性を調節していることを明らかにした。このことから類推して、チャネルの細胞内領域(N末端側、I-IIループ、II-IIIループ、III-IVループ、C末端側)も互いに相互作用してチャネル活性を調節するのではと考えた。この仮説を検証するため、先ず、近位C末端側(CT1)と他の4つの細胞内領域(N末端側、I-IIループ、II-IIIループ、III-IVループ)との結合を調べたが、直接結合は見られなかった。そこで、CT1とCaM結合に対する4つの細胞内領域の効果を調べたところ、I-IIループはCT1とCaMの結合を濃度依存的に抑制することが判明した。II-IIIループとIII-IVループにはこのような効果は見られなかった。この結果は、I-IIループがCT1とCaMの相互作用を修飾することによりチャネルの活性を調節する可能性を示している。今後、この可能性をパッチクランプ実験により検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度の研究棟の耐震改修により、シングルチャンネル電流を安定して記録することが困難となり、電気生理学実験が遅れたが、チャネルの細胞内領域ペプチドを用いたpull-down実験は順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
チャネルの細胞内領域とCaMの相互作用の実験を続行する。また、これらのぺプチドのCav1.2チャネルの活性に対する効果をパッチクランプ実験で調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、第97回日本生理学会年会が中止となり、3.5万円の会議の旅費が残った。残額は次年度の物品費に加えることとした。
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