研究課題/領域番号 |
19K07296
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 喜郎 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40348503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | TRPチャネル / 母子間カルシウム輸送 / 新生児副甲状腺機能亢進症 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
胎盤における母子間Ca2+輸送は胎児の骨形成のために必須な役割を果たしている。私はこれまでに、Ca2+選択的なチャネルの1つであるTRPV6の変異によって、胎盤における母子間Ca2+輸送低下による骨異常を伴う新生児一過性副甲状腺機能亢進症を発症することを明らかにしてきた(Suzuki Y, AJHG2018)。本年度の研究の目的は、本疾患の原因変異として同定されたTRPV6遺伝子変異をゲノム編集によってマウスに導入し、疾患の発症メカニズムを明らかにすることである。具体的には、細胞内Ca2+濃度上昇を起こすG450E変異体、および細胞膜上に移行できないR424Q変異体に着目し、ゲノム編集マウス作成用ssODNsおよびガイドRNAの設計を行い、CRISPR/Cas9法による変異体の作成を行った。その結果、両変異体ともF0マウスの作成に成功した。今後、上記2系統を確立し、それらのマウスを掛け合わせた際に新生児副甲状腺機能亢進症を発症するかどうかを解析する。今後、同マウスにおける解析と通じて本疾患発症のメカニズムを明らかにするとともに、母体ビタミンD欠乏などの環境因子が疾患の発症にどの程度関与しているのかを明らかにし、本疾患発症の重要なリスクファクターであることを証明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生理学研究所から岩手医科大学への異動に伴い、パッチクランプアンプを含む機器の融通や研究スペースの確保、研究のバックアップ体制の構築等に時間がかかっているものの、ゲノム編集マウスの作成に成功したため、おおむね計画通りに進展している。機能解析についてはDsRedフィルターを購入しCaイメージングのセットアップが完了したため、今後の進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞におけるチャネル機能解析を再開し、変異体の細胞内局在部位を明らかにする。また上記ノックインマウスにおける胎盤組織および一次培養細胞においてチャネル機能解析を行うことによって本疾患の分子メカニズムを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノム編集マウス関連支出が年度をまたいでしまったため。次年度において凍結胚作製委託および輸送費(生理学研究所から岩手医科大学)に使用する。
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