研究課題/領域番号 |
19K07299
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中田 勉 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (70452141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジャンクトフィリン / 心不全 / 興奮収縮連関 |
研究実績の概要 |
本研究では、心不全病態の形成において、ジャンクトフィリン2(JP2)の分解とその産物がどのような役割を果たすかについて検討を行っている。心筋の収縮の引き金となる細胞内カルシウム上昇は、形質膜上のL型カルシウムチャネルと、筋小胞体膜上のリアノジン受容体が機能的に連関して引き起こされる。JP2は、形質膜と筋小胞体膜を架橋し、結合膜構造とよばれる興奮収縮連関の場を作る重要な役割を果たしている。 これまでの検討により、マウス心臓にJP2の分解産物と類似構造を持つ変異体(JP2ΔCT)を強制発現すると、心収縮力の有意な減少が起こることを明らかにした。また、単離心筋細胞を用いた実験で、電気刺激に伴うカルシウムトランジェントの低下やL型カルシウムチャネルの細胞内局在の変化が認められた。これらの結果は、JP2ΔCTがL型カルシウムチャネルの正常な細胞内局在を乱すことで、カルシウム誘導性カルシウム放出を阻害することを示唆しており、これが心機能低下に関係していることが考えられる。 本年度はJP2ΔCTの強制発現によるカルシウム誘導性カルシウム放出異常について、そのメカニズムを明らかにする実験系の確立を目指した。これまでの検討結果は、JP2ΔCTの発現によって、L型カルシウムチャネルとリアノジン受容体の連関に異常が起こっていることを示唆していうる。これを明らかにするためには、パッチクランプ装置による膜電位固定とカルシウムイメージングを同時かつ高速で行う装置が必要となる。現在、保有しているパッチクランプ装置に適合する光源系、検出系について、複数の装置を試行し、最適な結果が得られる組み合わせを探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
JP2ΔCTの強制発現によって、心重量の増加、心収縮力の減少、心筋細胞のカルシウムトランジェントの低下、L型カルシウムチャネルの細胞内局在の異常などが観察されている。これらの結果はJP2ΔCTがL型カルシウムチャネルの正常な細胞内局在を阻害し、興奮収縮連関の効率を低下させていると考えられる。この分子メカニズムを明らかにするためには現有のパッチクランプ装置、カルシウムイメージング用の蛍光顕微鏡で検出するのが困難であると考え、現在適切な装置構成について検討を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
JP2ΔCT発現マウスの心機能低下について、詳細なメカニズムを明らかにする。パッチクランプによる膜電位固定と高速カルシウムイメージングを組み合わせ、L型カルシウムチャネルとリアノジン受容体の連関に異常があるかどうかを明らかにする。また、共免疫沈降法やProximity Ligation Assayなどにより、L型カルシウムチャネル、リアノジン受容体、内在性のジャンクトフィリンとの相互作用について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による研究計画の遅れ、移動制限による出張費の減少などにより次年度使用額が生じた。また、当初想定していなかった機器の整備が必要であることが明らかになったことから、研究遂行に遅れが生じた。次年度使用額は当初予定通り消耗品購入に充てる予定である。
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