研究課題
アドレノメデュリン(AM)は血管拡張作用などの循環調節作用を有する生理活性ペプチドであり、これまでに脂肪細胞の分化、糖脂質代謝およびエネルギー代謝を制御していることを明らかとしてきた。一方、アドレノメデュリン2(AM2)も循環調節作用を有する生理活性ペプチドであるが、代謝制御における意義は明らかでない。本研究では、脂肪細胞の分化や代謝制御における、AMとAM2の機能分化と相互作用、メタボリックシンドロームにおける病態生理学的意義を解明し、メタボリックシンドロームにおいてAMとAM2が治療標的となりうるか検討することを目的とした。令和3年度は、AM2の代謝制御機能を検討するため、食餌誘導性肥満モデルにおけるAM2の病態生理学的意義を引き続き検討した。AM2ノックアウトマウスに高脂肪食(脂肪含有量32%)を10週間投与して肥満を誘導し、白色脂肪組織におけるAM2の役割を解析した。AM2ノックアウトマウスは、野生型マウスと比較して、白色脂肪組織重量が増加し、遺伝子解析により、炎症性サイトカインやマクロファージマーカーの発現増加が見られた。また、普通食投与の野生型マウスと比較して、高脂肪食投与の野生型マウスの白色脂肪組織において、AMの発現変化は見られなかったが、AM2の発現増加が認められたことから、AM2が代償的に代謝制御へ関与していることが示唆された。さらに詳細に解析することにより、AM2がメタボリックシンドロームの治療の有用な標的となるか明らかになると考える。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Endocrinology
巻: 162(8) ページ: bqab090
10.1210/endocr/bqab090.