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2019 年度 実施状況報告書

成長因子と神経栄養因子の協調作用による創傷治癒促進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07319
研究機関山口大学

研究代表者

酒井 大樹  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40464367)

研究分担者 乾 誠  山口大学, その他部局等, 名誉教授 (70223237)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード創傷治癒促進薬 / 成長因子 / 神経栄養因子 / ペプチド
研究実績の概要

成長因子IGF-1と神経栄養因子サブスタンスP(SP)の協調作用による創傷治癒促進作用は、IGF-1のCドメインに位置するSSSRペプチドとSPのC末端部位であるFGLM-NH2ペプチドに置き換えることができる。これまでの研究で、この促進作用はIGF-1受容体の活性化を介さず、ACE活性化とアンギオテンシンIIの関与が示唆されてきた。
今年度は、表皮細胞を用いたin vitro創傷治癒実験法により、IGF-1とSPによる細胞遊走促進効果が、アンギオテンシン受容体やACEの機能的阻害により抑制される一方で、レニンの機能的阻害では抑制されないことを明らかにした。以上の結果は、SSSRペプチドとFGLM-NH2ペプチドの同時投与でも同様であった。また、表皮細胞において、IGF-1とSPの投与によりアンギオテンシンII産生量の増加が明らかになった。次に表皮細胞におけるACE発現量を解析したところ、IGF-1とSPの同時投与による発現量の変化は認められなかった。そのため、IGF-1とSPによるACEの機能的変化が表皮細胞の遊走促進に関与していると考え、ACEの切断放出を解析したところ、IGF-1とSPの同時投与によりACEの切断放出レベルが増加した。加えて、IGF-1とSPを投与した表皮細胞の培養上清におけるACE活性も増加することが明らかになった。
SSSRの標的分子を同定するため、IGF-1のCドメインペプチドに光架橋基(benzophenoneあるいはdiazirine)とビオチンを付加したペプチドを合成した。合成ペプチドを表皮細胞に添加し、架橋実験により標的分子の探索を試みたが、特異的な結合分子を見出すことはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

表皮細胞において、IGF-1とSPの同時投与によるACEの切断放出活性の増加を確認できたが、その機序の解明には至っていない。また、SSSRとFGLM-NH2ペプチドによる効果の検証も十分に行うことができなかった。
SSSR標的分子の同定に関しては、合成ペプチドによる架橋実験を行ったが特異的結合分子の同定には至らず、合成ペプチドのデザインや架橋実験方法を改良する必要があると考えられた。

今後の研究の推進方策

IGF-1とSPによるACE切断放出の作用機序の解明については、NK1受容体やプロテアーゼの関与について、阻害薬や遺伝子ノックダウン等の方法により研究を進める。
SSSR標的分子の同定については、表皮細胞の遊走活性を維持した合成ペプチドの作製を行い、架橋実験を行う。また、光架橋基は標的分子にかなり近接している必要があり、立体構造の影響を受けやすい点、またビオチンを用いた場合には生体内分子に対する非特異的結合が高くなる点を考慮に入れ、生体に存在しない官能基で高度な特異性を有するclick chemistryシステム等についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

ACE活性化メカニズムを解析するために必要な試薬や抗体類の一部が年度内に納品できない可能性が生じたため、それらを次年度に購入することにした。

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公開日: 2021-01-27  

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