研究実績の概要 |
慢性心不全はQOLを低下させ、世界的にみても主要な死亡原因であり、超高齢化社会において取り組むべき重要課題である。慢性心不全の発症と進展において重要なリスクファクターである心臓線維化には、エピジェネティックな制御機構が寄与しているが、この制御機構はいまだ解明には至っていない。本研究では遺伝子改変マウスおよび初代培養細胞を用いて、心不全におけるPRMT5の機能とそのメカニズムを解明し、さらに心不全モデル動物に対するPRMT5阻害剤の薬理効果を明らかにする。 Postn-CreまたはCol1a2-CreマウスとPRMT5-floxマウスを交配し、線維芽細胞特異的PRMT5-KOマウスを作成した。大動脈狭窄術を施した圧負荷応答性の心不全マウスモデルを作成し、超音波検査にて心機能を評価した。さらに心臓を摘出し、遺伝子発現解析 (Col1a1, alpha-SMA) および組織学的評価 (ピクロシリウスレッド染色) を行い、心不全に伴う線維化を評価した。 圧負荷応答により、心機能の減少がみられた。さらにPrmt5flox/floxマウスと比較して、線維芽細胞特異的PRMT5-KOマウスにて心機能の減少が改善した。さらに遺伝子発現解析の結果、圧負荷にて亢進した線維化関連遺伝子の発現が線維芽細胞特異的なPRMT5のKOにて減少した。同様に組織学的評価の結果、圧負荷にて亢進した線維化が線維芽細胞特異的なPRMT5のKOにて減少した。
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