研究課題
基盤研究(C)
組織線維化に関与するNOX4の発現抑制により、TGF-β受容体共役受容体であるエンドグリンの発現が蛋白レベルで減少することを見出した。TGF-β刺激によるSmad結合配列依存的な転写活性化がNOX4の発現抑制により抑制されたことから、TGF-βで発現が誘導されるNOX4と、NOX4により機能的発現が維持されると考えられるエンドグリンの間には、線維化を増悪させるfeedforward regulationが存在することが示唆された。
薬理学、分子生物学
組織線維化は不可逆的な変化であり、根治可能な薬物療法は現在のところ存在しない。NOX4は活性酸素種(ROS)を産生するNADPHオキシダーゼの触媒サブユニットの一分子種であり、NOX4が産生するROSは組織線維化に重要な役割を果たすが、その分子機構は未解明の点が多い。本研究では「TGF-β→NOX4の発現誘導→エンドグリンの機能的発現維持→TGF-βシグナルの増強」という線維化増悪サイクルの存在が示唆された。新たな抗線維化薬の開発のための基礎的知見となるものと考えている。