研究課題/領域番号 |
19K07334
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
坂田 宗平 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (40528006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アセチルコリン受容体 / パンクロニウム / ゼブラフィッシュ / 阻害剤 |
研究実績の概要 |
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は神経筋接合部において筋側に発現し、運動神経の興奮に伴いシナプス間隙に放出されるアセチルコリンを受容する。nAChRはリガンド作動性のイオンチャネルであり、nAChRが開口すると筋が脱分極し活動電位が形成される。ゼブラフィッシュの速筋では、イプシロンサブユニットを含むタイプのnAChR(以下、イプシロンタイプと呼ぶ)が発現しており、遅筋ではデルタサブユニットを含むタイプ(以下、デルタタイプと呼ぶ)が発現していることが報告されているが、これらの2つタイプで開口メカニズムが異なる可能性を考えている。nAChRの開口を修飾する分子として多くの薬剤が知られているが、これまでの研究で阻害剤の一つであるパンクロニウムが2つのnAChRに対して、それぞれアフィニティが異なることを見出した。アフィニティが異なるメカニズムを調べるため、イプシロンタイプとデルタタイプの受容体の間でキメラタンパク質を作成した。nAChRの構造は大まかにリガンド結合部位のある細胞外部分、膜貫通部分、細胞内部分の3つの部分に分けることができる。まず、細胞外部分がイプシロンタイプでそれ以外の部分をデルタタイプで構成されるnAChRを作成したところ、パンクロニウムのアフィニティはデルタタイプに近い値であった。さらに膜貫通部分もイプシロンタイプに置換してもデルタタイプに近いアフィニティであった。これは細胞内部分がパンクロニウムに対するアフィニティを決めていること示している。これまでパンクロニウムは細胞外のリガンド結合サイトにアセチルコリンと拮抗的に作用すると考えられていたが、実際にはそうではなくリガンド結合サイトを持たない細胞内部分がアフィニティに強く関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
nAChRの阻害剤であるパンクロニウムは、これまでアセチルコリンと拮抗して作用すると考えられてきたが、新たな可能性として細胞内部分がアフィニティに関与していることを明らかにした。これは大きな成果であると考えており、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により示したデルタタイプとイプシロンタイプに対するパンクロニウムのアフィニティの相違はゼブラフィッシュのnAChRに対するものである。ヒトのnAChRでも同様の現象がみられるかどうか、パッチクランプ法により確かめることを計画している。さらに遺伝コード拡張法を用いてデルタタイプとイプシロンタイプ、それぞれの開口メカニズムを明らかにする実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでにゼブラフィッシュのnAChRにおけるパンクロニウムに対するアフィニティの相違を明らかにした。しかしヒトのnAChRについての実験や遺伝コード拡張法を用いた実験を行うに至らなかっため期間延長を行い、研究費を次年度に使用することにした。パッチクランプ法、および遺伝コード拡張法を行うための機器や消耗品に使用する予定である。
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