研究代表者が発見した新規CD8ααT細胞は、免疫反応の進行に伴いCD4T細胞から再分化することにより生ずる。このCD8ααT細胞は遷延化した炎症反応の収束に重要であるが、詳細な免疫反応の制御機構は不明な部分が多い。CD8ααT細胞の解析にあたり、CD4T細胞由来のCD8ααT細胞を可視化することが必要となる。そのために、CD4T細胞のみに蛍光タンパク質を発現させ標識できるようなマウスを作成する。 ・CD4T細胞から再分化したCD8ααT細胞を可視化できるマウス 昨年度作出したCD4T細胞から再分化したCD8ααT細胞を可視化できるマウスは、CD4T細胞が蛍光タンパク質により標識されていたが、詳細な解析を行った結果、一部標的以外の細胞集団でも標識されていることが判明した。この事態に備え、他の細胞への標識の漏れを防ぐことができる遺伝子改変を行ったマウスの作出を計画しており、コンストラクションの作成を行った。この系がin vitroでうまく機能することを確認するために必要なコンストラクションも作成し、in vitroでの確認作業を進めている。実験系が動くことが確認でき次第、遺伝子改変マウスを作出し、昨年度作出した遺伝子改変マウスと交配して再度解析を行い、データを取得していく予定である。既に作成したマウスを用いた解析によって、本年度もある程度のデータは取得できたが、この細胞の本来の機能を詳細に解析するには本年度に作成を進めたマウスが必要である。将来は、CD4T細胞由来のCD8ααT細胞を特異的に除くための遺伝子改変マウスとも交配し解析することにより、新規CD8ααT細胞による免疫制御機構を明らかにしていく。
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