研究実績の概要 |
希少難治性疾患の解明に向けて、HTLV-1 関連脊髄症(HAM/TSP)の発症との関係が知られているプロウイルス量と、HLAタイピング結果の解析によって得られたHLA上のアミノ酸残基の情報を組み合わせることで、タイプ別にHAM/TSPの発症率を予測するための統計モデルを構築した(論文投稿中、特許出願中)。今後このリスクをより正確に推定するモデルへと拡張するため、HTLV-1プロウイルス全長配列のシークエンスを行った。IgG4関連疾患においては、835人のIgG4関連疾患患者と1,789人の対照群のHLAアレルの解析から、HLA-DRB1アレルとその抗原提示部位であるG-BETAドメイン7番目のアミノ酸残基位置のバリンを発症との関連変異として同定した(Terao et al., Lancet Rheumatology, 2019)。 HLA解析技術の開発においては、全長配列予測プログラムの改良を行い、主要HLA6遺伝子(HLA-A,-C,-B,-DRB1,-DQB1,-DPB1)の全長配列予測をこれまでに約5,000検体行った。さらに、HLA遺伝子全長配列のシークエンス法における実験方法の改良を行い、次世代シークエンサーを用いてより包括的にHLAアレルを増幅できかつ全長に渡って均質なカバレージでシークエンスすることが可能となった。 希少難治性疾患の横断的解析を推進するための人工知能解析技術の構築に向けて、全ゲノムデータ解析と深層学習を用いた画像解析の融合による、疾患の再層別・分類技術の開発を進めた。本年度は網膜色素変性の全ゲノム解析データと眼底画像を用いて、深層学習による原因遺伝子毎の画像クラスタリング技術を開発し、その効果の検証を進めた。
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