研究課題
宿主・ウイルスゲノムの統合解析によるHTLV-1 関連脊髄症(HAM/TSP)の関連解析のため、HTLV-1プロウイルス全長配列のシークエンス結果から、HAM/TSP発症との関連が知られているTax及びHBZ遺伝子配列およびアミノ酸配列決定法を開発した。開発手法をHAM/TSP 患者(406名)およびHTLV-1キャリア(1282名)のシークエンス結果に適用し、比較解析からHAM/TSP発症リスクを有意に上昇させるアミノ酸残基を同定した。次に、前年度報告した、HLAタイピング結果の解析から同定したHAM/TSP発症リスクとなるHLA-DRB1遺伝子上のアミノ酸残基の情報を統合して、より詳細な発症リスク予測モデルの開発をおこなった。今後、得られた変異の機能的意義の解析から、HAM/TSP発症機序の解明を目指す。全ゲノム解析データを用いたKIR領域解析手法の開発を進め、全ゲノム解析データからのKIR遺伝子コピー数、アレル、ハプロタイプ推定手法および融合遺伝子検出法を改良した。過去研究のデータに適用し、結果を比較したところ精度の向上が見られた。全ゲノム解析データを用いた原因遺伝変異情報の機械学習と人工知能技術を用いた網羅的文献解析を融合した、新規原因遺伝子同定手法を開発した。開発技術を網膜色素変性患者と健常者の全ゲノム解析データおよび原因遺伝子のデータベース、PubMedデータベースに適用し、一部の既知遺伝子群をテストデータとして同定を試みることでその有効性を検証した。疾患部位の細分化画像の深層学習から、診断画像を原因遺伝子によってクラスタリングする手法を開発した。開発手法を、網膜色素変性患者405枚および健常者104枚の広角眼底画像に適用し、原因遺伝子や疾患の進行に伴う、色素変性パターンの違いを検出することに成功した。
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