研究課題
加齢黄斑変性 (AMD) は血管新生とその破綻に起因する網膜変性疾患で、高齢化の進行により患者の増加が予想される。AMD治療薬として抗VEGF剤が使用されるが、根治的な治癒には至らず病変部で瘢痕(線維性増殖組織) が形成される。瘢痕は炎症に伴う新生血管破綻により筋線維芽細胞に形質転換した網膜色素上皮細胞(RPE)の増殖・脈絡膜への浸潤・ECMの過剰産生により形成され、視覚障害を起こすが、瘢痕に対する有効な治療薬はない。筋線維芽細胞機能阻害に焦点を当てた2つのアプローチ(①MRTF機能阻害化合物の探索と② Benzoylphenyl urea (BPU) 類縁体、BPU17を創薬シードとした研究)からの根治的AMD治療薬の創成が研究目的である。一番目のアプローチに関しては新規MRTF結合タンパク質としてCRP2を同定し、CRP2がMRTF/SRF/CArG-boxを介した転写制御に重要な役割を担うことを明らかにし(CRP2によるMRTF/SRF/CArG-box複合体形成の安定化)、CRP2の3次元構造解析によりMRTFと結合する領域及びアミノ酸残基を同定した。この研究は論文発表した(Cell Struc. Func. 2023 in press)。二番目に関してはBPU17がモデル動物を用いた解析で瘢痕形成及び血管新生を抑制することを明らかにしている(初代培養血管内皮細胞を用いた研究及びモデル動物での研究)。新たにRPE及び血管内皮細胞におけるBPU17結合タンパク質をproteomicsで同定した。このタンパク質はミトコンドリア機能維持や転写制御に関わる多機能タンパク質で、その機能解析を継続中である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Cell Struct. Funct.
巻: in press ページ: in press
10.1247/csf.23004