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2021 年度 実施状況報告書

心筋サルコメアにおけるアクトミオシン架橋形成の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K07355
研究機関宮崎大学

研究代表者

武谷 立  宮崎大学, 医学部, 教授 (50335981)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアクチン / ミオシン / サルコメア / フォルミン / 心筋症
研究実績の概要

心不全とは、心臓のポンプ機能の破綻によって全身の灌流不全をきたし、日常生活に支障をきたす病態を指す。全世界的に近年増加の一途にあり、「心不全パンデミック」の到来が予想されているが、心不全発症の分子メカニズムには未だ不明な点が多い。なかでも、心不全に陥った心筋組織では、心筋の収縮単位である「サルコメア」自体の収縮性および拡張性が進行性に低下するが、その分子機構には未解明な点が多い。申請者は、心筋サルコメアにおけるアクチン制御因子Fhod3とミオシン制御因子cMyBP-Cの機能的結びつきが、アクトミオシン架橋の形成制御を通じてサルコメアの収縮性および拡張性に変調をもたらす可能性を提唱した。本研究では、この変調機構の詳細を明らかにすると同時に、心不全の進展におけるその生理的意義を明確にすることを目的としている。本年度は、cMyBP-C欠損マウスにおける心筋症様の表現型が、Fhod3の過剰発現によって増悪し、逆にFhod3タンパク質レベルの低下により部分的に改善したというこれまでの結果から、少なくとも特定の条件下ではFhod3は心機能に対して有害な作用を及ぼすことが示唆されると考え、単離心臓の収縮力に対するフォルミン蛋白質阻害剤の効果を検討した。その結果、フォルミン蛋白質阻害剤が心筋収縮力の増強に関わることを見出した。興味深いことに、両生類の心臓と哺乳類の心臓とでは、フォルミン蛋白質阻害剤が異なる効果を示した。今後は、より特異的なフォルミン蛋白質阻害剤を用いて、サルコメアの恒常性破綻にアクチン制御因子とミオシン制御因子がどのように関わるかを中心に解析を進め、心不全発症の分子機構の解明に挑む予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍により実験動物の飼育制限等があったため、実験に滞りが生じた。

今後の研究の推進方策

ワクチン接種等によりコロナ禍の状況は改善しつつあり、当初の研究計画にできるだけ沿う形で進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による実験動物の飼育制限等があったため、実験に滞りが生じた。ワクチン接種等により状況は改善しつつあり、事業期間を1年間延長したことにより、当初計画に準じた形で使用できる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Differential effects of the formin inhibitor SMIFH2 on contractility and Ca <sup>2+</sup> handling in frog and mouse cardiomyocytes2021

    • 著者名/発表者名
      Sakata Koji、Matsuyama Sho、Kurebayashi Nagomi、Hayamizu Kengo、Murayama Takashi、Nakamura Kunihide、Kitamura Kazuo、Morimoto Sachio、Takeya Ryu
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 26 ページ: 583~595

    • DOI

      10.1111/gtc.12873

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経細胞の形態制御におけるフォルミン蛋白質Fhod3の役割2022

    • 著者名/発表者名
      2)Hikmawan Wahyu Sulistomo, 根本隆行, 鹿毛陽子,  武谷立
    • 学会等名
      生体運動研究合同班会議2022
  • [学会発表] フォルミン蛋白質Fhod3の心筋症病因変異がもたらす機能変化2022

    • 著者名/発表者名
      坂田鋼治, 鹿毛陽子, 武谷立
    • 学会等名
      生体運動研究合同班会議2022
  • [学会発表] アクチン核化重合因子Fhod1の肺胞マクロファージにおける役割2022

    • 著者名/発表者名
      三浦綾子、實松史幸、武谷 立
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会
  • [学会発表] 心筋アクトミオシンの形成と収縮におけるフォルミン蛋白質の役割2021

    • 著者名/発表者名
      武谷立
    • 学会等名
      第73回日本細胞生物学会
  • [学会発表] フォルミン阻害剤SMI-FH2による心機能の変容とその分子機序2021

    • 著者名/発表者名
      坂田鋼治, 松山翔, 呉林なごみ, 村山尚, 森本幸生, 武谷立
    • 学会等名
      第74回日本薬理学会西南部会
  • [学会発表] フォルミン蛋白質Fhod3による大脳皮質錐体細胞の樹状突起スパインの形態制御2021

    • 著者名/発表者名
      Hikmawan Wahyu Sulistomo, 根本隆行, 鹿毛陽子、藤井哉、尾藤晴彦、武谷立
    • 学会等名
      第94回日本生化学会大会
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/pharmacology/

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公開日: 2022-12-28  

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