近年、腫瘍に集族するマクロファージは組織常在マクロファージや骨髄単球由来マクロファージ、あるいは炎症促進型もしくは炎症抑制型マクロファージ等に代表される種々の異なる由来や機能を示す亜型により構成されるヘテロ集団をなしていることが報告されている。本年度においては、DR6機能欠損の腫瘍集族マクロファージ亜型の構成比に与える影響を解析した。すなわち、BALB/c遺伝背景DR6欠損マウスおよびBALB/c遺伝背景野生型マウスにマウス大腸ガン由来CT26細胞をシンジェニック皮下移植し、形成された腫瘍塊をそれぞれのマウスから採取した。腫瘍塊を酵素処理により単一細胞とした後にCD11bやF4/80抗原等に対する蛍光標識抗体を用いたFlowcytometry法により、種々の亜型に選別した。得られた結果を元に、DR6欠損あるいは野生型マウスにおける腫瘍集族マクロファージ集団における亜型構成比を比較した。PD1やPDL1を標的とした抗体に代表されるように、腫瘍に対する効果的な治療法として抗体療法の有効性が確立されつつある。我々はこれまでに抗マウスDR6モノクローナル抗体を樹立していることから、本抗体投与のCT26腫瘍形成に対する影響を評価した。野生型BALB/cマウスにCT26細胞を移植し、腫瘍塊を形成させ、一定の腫瘍径に達したマウスをランダムに2群に分け、一方に抗マウスDR6抗体、他方にコントロール抗体を投与した。抗体投与後から人道的エンドポイントに達する間、各マウスの腫瘍径を定期的に計測した。コントロール抗体投与群および抗マウスDR6抗体投与群から得られた腫瘍径推移を比較し、抗DR6抗体投与のCT26腫瘍形成に与える影響を検討した。
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