神経細胞では、軸索や樹状突起に特定のmRNAが局在化しており、環境変化に応じて局所的なタンパク質合成が行われる。こうしたmRNA翻訳の時空間的な制御は、軸索伸長やシナプス可塑性を担い、神経変性疾患にも関与するため、その機構や生理機能の解明が望まれている。 本研究では、RNA結合タンパク質 Hnrnpabが、神経形成期の嗅神経細胞に高発現しており、軸索投射に関わるmRNA群に結合していることを明らかにした。また、Hnrnpab欠損マウスでは、ターゲット遺伝子の発現が糸球体 (軸索末端) において低下しており、成熟な嗅神経細胞数の減少と、軸索投射様式の異常が生じることが明らかとなった。
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