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2021 年度 実施状況報告書

Notch受容体の細胞表面における活性化調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K07374
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

北川 元生  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40262026)

研究分担者 増田 渉  埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00623464)
湯澤 聡  国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (40515029)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードNotchシグナル / TM2D3 / ノックアウトマウス / アルツハイマー病
研究実績の概要

TM2D3v2のN側の細胞外ドメイン(102残基)をHis融合タンパク質として大腸菌を用いて発現することに成功した。
昨年度までの研究でTm2d3ノックアウト(KO)マウスは胎生14.5から16.5日に死亡しはじめるが、KOマウスは野生型に比べ大動脈の中膜平滑筋層が薄いことを見出している。大動脈の中膜平滑筋層の発生にはNotch2を介するシグナルが重要であることが知られているが、この平滑筋層が薄い大動脈は一見静脈様にも見える。動脈と静脈の特異化はNotch1を介したシグナルによって開始することが知られているので検討したところ、KOマウス、野生型マウスいずれも大動脈内皮細胞は動脈マーカーを発現し、肝静脈内皮細胞は静脈マーカーを発現していた。以上、血管の表現型は中膜平滑筋層の低形成に限られると考えられた。
昨年度までの解析で胎生16.5日のKOマウスは肝が低形成であり、巨核球は特異マーカーの染色性が野生型マウスとは異なり未熟と考えられることを見出している。そこで巨核球発生、さらに他の造血系の発生を解析するため胎仔肝の造血幹細胞移植をおこなった。移植後4か月では巨核球系、赤血球系、骨髄球系、さらにNotch1を介したシグナルが重要であることが知られているTリンパ球系にKOと野生型の間に大きな違いは見られなかったが、Notch2を介したシグナルが重要であることが知られている脾臓辺縁帯B細胞の数がKOでは約半分であることを見出した。これらの結果は、Tm2d3が生体におけるNotch2のシグナル発生に必要であること、さらにTm2d3はリガンドではなくNotchを発現している側の細胞で機能することを示唆している。なお巨核球の表現型については、Tm2d3が胎仔肝の環境の形成に必要である可能性と、巨核球分化の速度に関与し16.5日でみられた差が、4か月後には見られなくなる可能性とが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Tm2d1とTm2d2のKOマウス系統は、すでにMutant Mouse Resource & Research Centers (MMRRC) に参加している米国の大学の共同研究者によって作製されており、表現型の解析はわれわれが行うことになっている。新型コロナウイルス感染症流行の影響によって米国で飼育マウス数および飼育担当者が削減されたため、これまでこれらのノックアウトマウス系統(凍結精子)の輸送が実現していない。

今後の研究の推進方策

組換え型TM2D3タンパク質の産生量は良好である。現在産生とrefoldingに取り組んでおり、今後は良好なものが存在しない抗TM2D3抗体の作製、in vitroにおけるNotchとの相互作用等の生化学的機能の検討、結晶化とX線構造の解析に供する。
脾臓辺縁帯B細胞数はNotch2を介したシグナルの強度とよく平行し、この系でリガンドとなるDll1、核内共役因子として必須であるMaml1等の遺伝子がヘテロ接合体の場合は、脾臓辺縁帯B細胞数が約半分になることが知られている。また、昨年度までの培養細胞を用いた研究でTM2D3/Tm2d3はNotch1およびNotch2の細胞表面の発現を正に制御することを見出している。そこで、再度造血幹細胞移植を行い、脾臓B細胞における細胞表面のNotch2の発現等を検索する。
米国における新型コロナウイルスの感染とその対策状況は改善した模様であり、先日MMRRCとの調整を開始した。本年度中にTm2d1とTm2d2のKOマウス系統の入手と飼育・解析が開始できることが期待される。
アルツハイマー病の研究に関しては、C57BL/6系統への戻し交配が目標の10回をこえたので、Jackson研究所からモデルマウスを入手して交配を開始する。

次年度使用額が生じた理由

Tm2d1とTm2d2のノックアウトマウス凍結精子の米国からの輸送と個体の復元、およびアルツハイマー病モデルマウス系統の入手、およびこれらの解析に使用する。
またTM2D3タンパク質を用いた特異抗体の作製、およびその結晶化とX線回折実験に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Baylor College of Medicine(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Baylor College of Medicine
  • [国際共同研究] VIB(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      VIB
  • [雑誌論文] マウスTm2d3遺伝子は劣性致死性遺伝子である2022

    • 著者名/発表者名
      板橋匠美、北川元生、増田渉、安島理恵子、相賀裕美子、梅宮敏文
    • 雑誌名

      医学検査

      巻: 印刷中 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TM2D群(TM2D1、TM2D2、TM2D3)のNotchシグナルにおける機能2021

    • 著者名/発表者名
      北川元生、板橋匠美、梅宮敏文、三宅克也、増田渉、安島理恵子、相賀裕美子
    • 雑誌名

      国際医療福祉大学学会誌

      巻: 26 ページ: 196

  • [学会発表] Involvement of Transmembrane 2 domain containing 3 (TM2D3) into Notch signaling in vitro and in vivo2022

    • 著者名/発表者名
      Motoo Kitagawa
    • 学会等名
      Institute for Protein Research (IPR) International Seminar “Towards controlling the Notch signaling pathway”
    • 招待講演
  • [学会発表] TM2D群(TM2D1、TM2D2、TM2D3)のNotchシグナルにおける機能2021

    • 著者名/発表者名
      北川元生、板橋匠美、梅宮敏文、三宅克也、増田渉、安島理恵子、相賀裕美子
    • 学会等名
      第11回国際医療福祉大学学会学術大会
  • [学会発表] Involvement of Transmembrane 2 domain containing 3 (TM2D3) into Notch signaling in vitro and in vivo.2021

    • 著者名/発表者名
      Wataru Masuda, Takumi Itabashi, Toshifumi Umemiya, Rieko Ajima, Katsuya Miyake, Kazuhiko Azuma, Jun-ichi Tamaru, Makoto Kiso, Tomoko Yamakawa, Puspa Das, Kenji Matsuno, Yumiko Saga, Motoo Kitagawa
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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