潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患では、免疫応答の機能障害によって、TGFbを含む炎症性サイトカインによる持続的な線維芽細胞の活性化により “線維化”が誘導されるが、線維芽細胞において、Sirtuin遺伝子群の1つ、Sirt1が抑制されることが1つの要因として考えられる。本研究では、炎症性腸疾患における“線維化”形成に着目し、線維化を促進する主要因子TGFbによってSirt1がどのように抑制されるのかについて解明する。そして、Sirt1-NAD+経路を活性化するニコチンアミドモノヌクレオチドによって、線維化を抑制する遺伝子群の探索を行う。さらに、炎症性腸疾患マウスモデルにおいて、Sirt1-NAD+経路の活性化による線維化を抑制する機構について解明する。本成果は、近年、生活習慣の変化により患者数が増加している炎症性腸疾患に対する治療標的や予防医学の発展に寄与し得ると考える。 令和3年度は、野生型及びSirt1機能欠損マウス由来のマウス胎仔線維芽細胞を単離し、NAD+前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチドを投与することによる細胞内代謝機能解析を行った。そのために、FluxAnalyzerを用いて、ミトコンドリア呼吸能などのミトコンドリア機能について解析を行った。
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