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2021 年度 実施状況報告書

リーリン欠失統合失調症患者モデルマウスを用いた発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07384
研究機関名古屋大学

研究代表者

森 大輔  名古屋大学, 脳とこころの研究センター(医), 特任准教授 (00381997)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードリーリン / 統合失調症 / モデルマウス
研究実績の概要

統合失調症や自閉スペクトラム症は、遺伝要因が発症に強く関与するとされる。近年、研究代表者らは全ゲノムにわたりゲノムコピー数変異(CNV)や一塩基置換(SNV)を探索し、頻度は稀ではあるが発症に大きく寄与するゲノム変異を多数同定し、発症関連遺伝子を特定しつつある。研究代表者らは、日本人統合失調症を対象としたゲノム解析で、リーリン遺伝子(リーリン)を欠失している患者親子を同定した。リーリン(Reelin)は脳の発生・成熟・維持に関与するタンパク質である。研究代表者らは、統合失調症患者の全ゲノム解析により、発症に関与する遺伝子の一つとして、リーリン欠失患者を1家系2名において同定し、リーリン欠失患者iPS細胞から分化した神経細胞に見られた遊走の特性を報告した(Sobue et.al, 2018; Arioka et al., 2018)。さらに統合失調症発症に到る機構を解明するため、ゲノム編集技術によって当該リーリン欠失をモデルとした患者型リーリン遺伝子欠失マウスを新規で作製した。以上を踏まえ、本申請課題では、リーリン欠失マウスの行動薬理学的解析、組織病理学的解析、培養神経細胞を用いたin vitro遊走解析、リーリンシグナル伝達の分子生物学的解析、遺伝子発現解析を実施し、論文化した(Sawahata et al., 2020; Tsunemura et al., 2021)。リーリン欠失患者由来iPS細胞から分化させて認められたような細胞遊走およびリーリンシグナル異常が生じているかどうかを比較し、リーリン欠失から統合失調症発症に到る機構の一端を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リーリン欠失患者モデルマウスの表現型解析、行動薬理解析を実施し、論文2報を提出することができ、概ね目的は達せられたと考えている。

今後の研究の推進方策

Reelin欠失モデルマウスは統合失調症の良いモデル動物であるため、引き続き病態解明から治療法開発につなげていきたい。具体的にはconditional knockout mouseを導入し、神経回路病態と遺伝子発現解析を計画する。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題における研究は順調に進捗したものの、コロナ禍の影響もあり、遺伝子組換え動物の輸入など必要な消耗品の入手が遅れた。そのため次年度に予算を繰越す手続きをとった。年度明けに改めて遺伝子組み換え動物の輸入手続きを再開し、本学の動物施設で個体化したのち解析に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Analysis of Reelin signaling and neurodevelopmental trajectory in primary cultured cortical neurons with RELN deletion identified in schizophrenia2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuneura, Y. Sawahata, M. Itoh, N. Miyajima, R. Mori, D. Kohno, T. Hattori, M. Sobue, A. Nagai, T. Mizoguchi, H. Nabeshima, T. Ozaki, N. Yamada, K.
    • 雑誌名

      Neurochem Int

      巻: 1144 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.neuint.2020.104954

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 3q29 欠失統合失調症モデルマウスの活動リズムの解析2021

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Mori, Takashi Hirao, Ryosuke Ikeda, Yuko Arioka, Itaru Kushima, Norio Ozaki
    • 学会等名
      日本神経科学学会
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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