研究課題/領域番号 |
19K07391
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
仁科 隆史 東邦大学, 医学部, 助教 (50598365)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大腸癌 / CAF / Interleukin-11 / 炎症 / レポーターマウス / 間質細胞 |
研究実績の概要 |
研究代表者は新規に樹立したレポーターマウスを用いた予備的研究から、大腸癌増悪に働くサイトカインのひとつであるインターロイキン(IL)-11が癌細胞ではなく、その周囲に存在する間質線維芽細胞で特異的に産生されていることを見出している。 本研究では、いまだ不明な癌関連間質細胞の腫瘍形成促進機構を明らかにするために、IL-11産生癌関連間質細胞(11CAFs)の特性を明らかにし、新たな治療標的を見出すことを目的としている。 大腸癌組織におけるIL-11産生癌間質細胞の特性を明らかにするために、IL-11遺伝子プロモーター下流で蛍光タンパク質EGFPを発現するように遺伝子組換えを行ったマウスを用いて、大腸癌モデルマウスを作製した。そして大腸癌モデルマウス(炎症誘発性大腸癌モデル、ヒト家族性大腸腺腫症モデルマウスであるAPCmin/+マウス)におけるIL-11産生EGFP陽性細胞に対し、各分化細胞に特異的な分子マーカーを指標に、免疫染色、およびフローサイトメトリーにより解析を行った。その結果、11CAFsの特徴付けを行うことができた。 大腸癌モデルマウスだけでなくヒト大腸癌検体を用いにおいても同様の細胞でIL-11の発現が見られるか、上記の解析で見出した11CAFs特異的な分子の発現を免疫染色により検証した。その結果、ヒト検体においても同様の細胞でIL-11産生が認められることが明らかとなった。現在は、さらなる11CAFsの詳細な特徴付けを行うために、大腸癌モデルマウスより11CAFsを分取し、遺伝子発現情報を解析するための条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、代表者が樹立したIL-11レポーターマウスを用いた11CAFsの特徴付けが順調に進んでいる。大腸癌モデルマウスの研究で得られた知見が、ヒト大腸癌検体においても見られている点は、本研究を進める上で重要な点であると考えている。現在は、大腸癌モデルマウスの腫瘍部より11CAFsを分取し、遺伝子発現情報を得るための条件検討をすすめている。 このように着実に研究が進められていると考え、上記区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、大腸癌モデルマウスより11CAFsを分取し、遺伝子発現情報を得る準備をすすめている。この情報が得られれば、11CAFsの更なる特徴付けを行える。さらに、11CAFs はIL-11以外の機構を介して腫瘍形成を促進している可能性も考えられる。すなわち、この情報を得て解析をすすめることは、未知の大腸癌形成を促進する因子の同定にもつなげられると考えられる。腫瘍形成を促進する可能性がある因子の情報が得られ次第、大腸癌モデルマウス、および大腸癌オルガノイドを用いて、その因子の役割を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子発現解析が次年度にずれたため、予算の使用順序が変わった。 次年度には、遺伝子発現解析をすすめるため繰り越し分と合算して、翌年度分として請求した助成金を使用する予定である。
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