研究課題
関節リウマチ(RA)の自己抗体上のシアル酸を改変し、シアル酸付加抗体を作成し、その機能を検討したところ、マウスモデルにおいて、関節炎の誘導を抑制することができた。しかし、この自己抗体は、マウス由来であり、ヒトモノクローナルanti-citrullinated protein antibody(ACPA)による機能解析が必要となる。そこで、我々はRA患者で産生されるヒト自己抗体ACPAのシアル酸機能を明らかにするため、ヒトACPAのモノクローナル抗体の同定を目指した。そのために、関節リウマチ患者からB細胞を単離、回収し、ここから、可変部DNA 配列を同定した。さらに、モノクローナルACPAの可変部DNA 配列を含んだIgH & IgL発現vectorをCHO 細胞に導入し、ヒトモノクローナルACPAを発現させ、これまでに、第一世代環状シトルリン化ペプチド(CCP1)に反応するヒトモノクローナルACPAを同定した。さらに、これらのヒトモノクローナルACPA抗体のマウス抗体化を行うため、可変部DNA 配列をマウスIgH & IgL発現vector に導入した。今後は、これらの抗体の大量精製を行い、マウスにおけるACPAの病原性を検討する。一方、CHO細胞を用いたIgG糖鎖改変のために、CHO細胞にst6gal1遺伝子とB4galt1遺伝子を安定発現させたシアル酸付加CHO細胞を作成中である。今後は、シアル酸付加CHO細胞にACPAの可変配列を含んだIgH & IgL発現vectorを導入し、シアル酸付加ACPAを作成する。
2: おおむね順調に進展している
現在までに、関節リウマチ患者からB細胞を単離、回収し、ここから、可変部DNA 配列を同定した。さらに、モノクローナルACPAの可変部DNA 配列を含んだIgH & IgL発現vectorをCHO 細胞に導入し、ヒトモノクローナルACPAを発現させ、これまでに、第一世代環状シトルリン化ペプチド(CCP1)に反応するヒトモノクローナルACPAを同定できた。この結果は、概ね順調に進んでいる。
現在までに同定されたACPAはCCP1における結合性の検討に留まっているが、CCP2における結合性についても明らかにする。また、上記のように、同定されたACPA抗体の大量精製を行い、マウスにおけるACPAの病原性を検討する。シアル酸付加CHO細胞にACPAの可変配列を含んだIgH & IgL発現vectorを導入し、シアル酸付加ACPAを作成し、その抗炎症機能を検討する。
細胞実験や生化学実験の試薬が予定より遅れたため、256,127円が残ったが、新たな追加実験のための細胞実験や生化学実験に当てる。
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