研究課題/領域番号 |
19K07395
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田口 恵子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20466527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Nrf2 / Keap1 / 食道がん |
研究実績の概要 |
上皮特異的Keap1欠失(Keap1floxB/floxB::K5-CreERT2; Keap1::K5-CreERT2)マウスにタモキシフェン(Tam)100 ug/g体重を3回(中容量)を腹腔内投与すると、食道上皮においてKeap1が約半量に欠失した。Tam量に依存してKeap1欠失細胞の割合が変化するか否かを調べるために、低容量と高容量のTamを投与したところ、Tam量依存的にKeap1欠失細胞の割合が変化した。中容量によるKeap1欠失は異形成を誘導するが、低容量によるKeap1欠失では組織学的な変化はほとんど起こさずにKeap1欠失細胞が存在した。Keap1欠失細胞とKeap1発現細胞の割合により、食道における組織構築が変化すること、Keap1欠失細胞の割合が大きくなると組織変化が激しいことが示された。 一方、上皮特異的Nrf2欠失(Nrf2flox/flox::K5-CreERT2; Nrf2::K5-CreERT2) マウスにTam中容量を投与すると、食道上皮においてNrf2欠失細胞とNrf2発現細胞が共存するモデルマウスを作出できた。本マウスに化学発がん剤4NQOを飲水投与すると、Nrf2欠失細胞にDNA障害が蓄積し、選択的に上皮から排除された。その結果、発がんした組織はNrf2欠失細胞ではなくNrf2発現細胞で構成された。これまでに、全身性Nrf2欠失マウスを用いた化学発がん実験では、Nrf2欠失マウスの易発がん性が報告されているが、Nrf2欠失細胞とNrf2発現細胞が共存する組織環境では発がんにおいて細胞の選択性があることが示された。発がん過程において、Nrf2発現量の異なる細胞集団の共存が互いに作用すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織学的および遺伝子発現解析が進み、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト食道がんでは、遺伝子変異によりNRF2が活性化したがんが見つかっている。そこで、Keap1欠失細胞とKeap1発現細胞が共存したKeap1::K5-CreERT2マウスを用いて、発がん過程におけるNrf2活性の関与を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催となり、旅費がかからなかったため 主に動物飼育管理費や遺伝子発現解析に関わる消耗品類に使用する
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