研究課題
基盤研究(C)
食道上皮細胞においてNrf2の発現が後天的に変動するモデルマウスを作製して、化学発がん剤による食道発がんの進展にNrf2がどのように働くかを調べた。食道上皮組織における部分的なKeap1欠失細胞の出現は、Keap1発現細胞にDNA損傷を与え、発がんの促進に寄与した。本研究は、食道扁平上皮がんの約30%を占めると言われているNrf2活性化がんの形成の理解に役立つ成果になると期待できる。
生化学
Nrf2活性化がんは、食道がんのみならず様々な癌腫で見つかっており、がん形成におけるNrf2の貢献は興味深いテーマである。Nrf2活性化を賦与した細胞からはがんは形成されず、むしろ組織から排除される細胞競合が観察された。本研究から、Nrf2の活性化自体は細胞のがん化には寄与しないことが明らかになった。Nrf2の活性化はがん形成の過程で獲得されて、がん細胞の生存に働くことが考えられた。