研究実績の概要 |
本年度の実績を、(1)脳構造異常の継時的解析、(2)神経幹細胞の細胞周期解析、(3)脳サイズ調節を分岐・制御する分子ネットワーク変化の抽出、の3つの主な項目に分けて報告する。 1)脳構造異常の継時的解析:大脳皮質の各layer marker(Tbr2, Sox2, Pax6(胎児脳);Cux1, Foxp1, Tbr1(成獣脳))を免疫染色したところ、VCPノックインマウスでは、胎児期(E15)および成獣期(6ヶ月齢)において、正常マウスと比べて層構造が異常であることが明らかになった。また、6ヶ月齢脳にてゴルジ染色を行ったところ、ニューロンの樹状突起の過剰分岐が見られた。 2)神経幹細胞の細胞周期解析:正常マウスおよびVCPノックインマウスより神経幹細胞を単離し、細胞増殖能および細胞周期解析を行った。VCPノックインマウスの神経幹細胞は、正常マウス神経幹細胞と比べて、細胞増殖速度が遅く、細胞周期の異常が見られた。次に、マウス胎児におけるBrdUを用いたcumulative labelingによる細胞周期解析からも、同様の結果を得た。さらに、マウス胎児脳切片におけるBrdU/Ki67染色から、神経新生も異常であることが判明した。 3)脳サイズ調節を分岐・制御する分子ネットワーク変化の抽出:胎児期から生後成育期にかけて、胎生15日齢、生後4週齢、12週齢、24週齢、48週齢のマウスから大脳皮質を摘出し、リン酸化プロテオーム解析を開始した。また、胎児から単離した神経幹細胞も、同様にリン酸化プロテオーム解析を開始した。
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