研究課題/領域番号 |
19K07419
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
立石 陽子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20644438)
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研究分担者 |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326027)
松村 舞依 横浜市立大学, 医学部, 助教 (50812997)
稲山 嘉明 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 教授 (10184730)
大橋 健一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40231203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大腸癌 / リンパ節転移 / 簇出 / 低分化胞巣 / 全エクソンシークエンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、早期大腸癌の高悪性度成分と考えられる、浸潤部における簇出、低分化胞巣の形態を示す腫瘍細胞の遺伝子変異を明らかにすることである。大腸癌はひとつの腫瘍内でも多彩な組織像を示し、腺腫など前癌病変を背景として、粘膜内癌から粘膜下層に浸潤し、浸潤先進部では低分化な腫瘍胞巣や簇出が認められることが多い。浸潤先進部の低分化胞巣や簇出は、大腸癌のリンパ節転移のリスク因子として古くから知られている。我々は、病理組織標本の“簇出・低分化胞巣”という形態学的特徴に着目し、その分子基盤に迫るべく研究計画を立てた。 左半結腸に局在する大腸癌で、リンパ節転移を有し、浸潤部に簇出が目立つ2症例の凍結検体を用いて、正常粘膜、腫瘍、浸潤先進部の低分化胞巣をレーザーマイクロダイセクションで切り分け、DNAを抽出した。このDNAを用いて次世代シーケンサーによる全エクソンの網羅的遺伝子変異検索を行い、浸潤先進部の低分化胞巣成分に特有の候補遺伝子変異の同定を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、リンパ節転移を伴う大腸癌手術材料の凍結検体からレーザーマイクロダイセクションにより正常粘膜と腫瘍成分、簇出を切り分けてDNAを抽出した。しかし、簇出は腫瘍細胞5個未満から成る病変のため得られたDNAがごく微量で、シークエンス解析のライブラリ作成に十分量のDNAを得ることができなかった。このため、実験手法を変更した。簇出と同様にリンパ節転移指標として有意義であるとされる低分化胞巣(腫瘍細胞が5個以上から成る腺腔形成の乏しい腫瘍胞巣)を切り分けたところ、実験遂行に十分なDNAを得ることができた。このため、実験の進捗はやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
正常粘膜と腫瘍成分、低分化胞巣を切り分けて抽出したDNAを用いて、次世代シーケンサーによる全エクソンの網羅的遺伝子変異検索を行い、浸潤先進部の低分化胞巣成分に特有の候補遺伝子変異の同定を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗が遅れ、レーザーマイクロダイセクションによる低分化胞巣の切り分けとDNA抽出を遂行したが、予定していた全エクソーム解析は施行できなかった。来年度に解析を完了する予定である。
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