研究課題/領域番号 |
19K07420
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
中村 保宏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80396499)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難治性膀胱尿路上皮癌 / アンドロゲン受容体 / 免疫組織化学的検討 / NKB1 |
研究実績の概要 |
1. 術前化学療法を行った筋層浸潤膀胱尿路上皮癌およびそのリンパ節転移検体において、アンドロゲン受容体(AR)の発現状況を免疫組織化学的検討で評価した。その結果、これらの症例では膀胱原発巣でのAR発現は概して低く、さらにリンパ節転移部ではほとんどの症例で陰性であることが確認された。一方、一部にはARの高発現を示す症例があることも確認された。今後、検討した症例でのAR発現度と臨床病理学的因子との関連を総合的に解析する予定である。
2. 化学療法耐性ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株(NKB1)に対して、real-time PCRおよびWestern blotting解析を行い、AR発現を確認した。その発現度は、他の膀胱尿路上皮癌細胞株であるT24細胞やJ82細胞と比べて大きな差異はみられなかった。また、DHTによるNKB1細胞の増殖能や遊走能への影響を検討したが、NKB1細胞の増殖に時間を要しており、現在その実験条件の検討を行っている段階である。
3. 前立腺癌などで既知である複数のAR関連因子に関するin vitro実験を行った。方法としては、NKB1細胞にARアゴニストであるdihydrotestosterone (DHT)を投与して一定時間培養した後、細胞からRNAを抽出してreal-time PCRを行った。結果、DHT投与にてC1orf116-2やC5orf46-2のmRNAレベルが上昇する可能性が示唆された一方で、CDK14-2のmRNAレベルには変動はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究を行っている他施設からのヒト検体の提供がやや遅れたことと、NKB1の培養条件設定にやや時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
NKB1に対し、ARの特異的アゴニストを添加した後に、各種癌関連因子、アンドロゲン応答遺伝子、miRNAの発現動態をRNA-seq解析、定量RT-PCRなどによって網羅的に解析する。さらに、筋層浸潤膀胱尿路上皮癌およびそのリンパ節転移検体におけるAR遺伝子のメチル化の有無を検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織化学的検討や培養細胞株を用いた実験の一部に遅れが生じたため。
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