研究実績の概要 |
1. 術前化学療法を行った筋層浸潤膀胱尿路上皮癌およびそのリンパ節転移検体において、アンドロゲン受容体(AR)の発現状況を免疫組織化学的検討で評価した。その結果、これらの症例では膀胱原発巣でのAR発現は概して低く、さらにリンパ節転移部ではほとんどの症例で陰性であることが確認された。一方、一部であるもののARの高発現を示す症例が存在することが確認された。 2.ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株NKB1において、dihydrotestosterone (DHT)添加に対するC1orf116-2やC5orf46-2のmRNA発現量に関する詳細な検討(濃度依存性、時間依存性の有無など)を行ったが、最終的には有意な変化は確認できなかった。 3. ヒト膀胱尿路上皮癌細胞株であるT24細胞に対して、AR強制発現株作成を行った。その結果、同株ではAR関連因子であるprostate tumor overexpressed-1 (PTOV1)とPMEPA1 prostate transmembrane protein, androgen induced 1(PMEPA1)のmRNA量の発現上昇が確認された。一方で、この細胞株へDHT添加では強制発現前株との比較で細胞増殖能には変化はなく、またアポトーシス関連遺伝子であるCaspase3,8,9のmRNA発現量にも変化はみられなかった。上記に加え、T24細胞のPMEPA1強制発現株を作成し、検討を行ったところEMTマーカーであるVimentinの発現が減少した。また、T24細胞AR強制発現株及び、AR-PMEPA1二重強制発現株においても同様の結果であった。以上より、PMEPA1を介してVimentinを発現が抑制されていることが示唆された。
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