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2021 年度 実施状況報告書

進行期直腸癌の癌免疫監視回避機構による癌幹細胞ニッチ形成を標的とした新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K07421
研究機関北里大学

研究代表者

高橋 博之  北里大学, 医療衛生学部, 教授 (60377330)

研究分担者 三枝 信  北里大学, 医学部, 教授 (00265711)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード直腸癌 / PD-L1 / NCRT
研究実績の概要

「進行期直腸癌のβ-カテニン依存性癌幹細胞領域(簇出部)は、PDL1陽性癌・間質細胞より形成される癌免疫不全領域(癌幹細胞ニッチ)で、術前化学・放射線療法(NCRT)により間質のPD1/CD8陽性リンパ球が増加するが、NCRT抵抗例ではそのニッチ内のPDL1陽性癌・間質細胞も増加する。故に、NCRTと癌免疫療法併用はNCRT抵抗性直腸癌の新規治療戦略への展開が期待できる」という作業仮説を立証するために、実験のデータの解析、まとめを行った。
免疫染色で、NCRTを行っていない大腸癌100例中9例(9%)、その中の直腸癌34例中1例(2.9%)で腫瘍細胞にPD-L1膜発現が見られたが、mismatch repair (MMR) status以外には、臨床病理学的因子との関係は認められなかった。一方、間質のPD-L1陽性免疫細胞は,PD-1やCD8と共発現しており、腫瘍の静脈侵襲、核β-カテニン陽性簇出部癌幹細胞様所見と関連していた。局所進行直腸癌NCRT施行前の生検でCD8陽性免疫細胞が多いとNCRT治療の高い効果が得られた。NCRT後の腫瘍のPD-L1発現は83例中2例(2.4%)でMMRとは無関係で見られ、間質のPD-L1発現高値と腫瘍の核β-カテニン発現高値はNCRT効果不良、簇出高値と優位に関連していた。さらに間質のPD-L1発現高値は優位に予後不良であった。
以上から、間質PD-L1+間質細胞と核β-カテニン陽性腫瘍簇出は、免疫抵抗性や癌幹細胞化を示す腫瘍免疫不全領域の形成を通して大腸癌の進行、局所進行直腸癌のNCRT抵抗性に関係している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、論文投稿中のため。

今後の研究の推進方策

局所進行直腸癌のNCRT抵抗性における腫瘍微小環境のPD-L1以外の因子について研究を発展させる。

次年度使用額が生じた理由

論文の投稿に際して、レビュアーの意見に対応するために、引き続き慎重に確認の実験や解析を行う必要性が生じた。助成金の使用計画としては、レビュアーの指示にあった組織写真を作製するため染色液などの試薬やその際の消耗品の購入に充てる。

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公開日: 2022-12-28  

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