ゲノム科学の進歩により腫瘍細胞の特徴化は飛躍的に進んだが、種々の細胞間の相互作用からなる腫瘍微小環境は不明な点が多い。肺腺がんの微小環境を免疫細胞の種類、密度によってクラスタ解析したところ、特徴的な4群に層別化された。さらに、PD-L1陽性がんをクラスタ解析したところ、CD8陽性リンパ球数/FOXP3陽性リンパ球数が高く予後良好である1群が同定された。肺腺がんは浸潤する免疫細胞という観点からもヘテロな集団であり、遺伝子異常や臨床病理学的因子との関連がみられた。症例数と免疫細胞の種類を増やすとともに、ゲノム情報や治療効果情報を付加することにより、肺がん免疫微小環境の更なる特徴化が必要である。
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