研究課題/領域番号 |
19K07430
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
細田 和貴 愛知県がんセンター(研究所), がん情報・対策研究分野, 研究員 (00728412)
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研究分担者 |
谷田部 恭 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90280809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵癌 / KRAS / RNAシーケンス / 融合遺伝子 / 遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
5例のRNA transcriptome sequencingの結果を解析した。反復する融合遺伝子は見出されなかったが、1例、粘液癌の症例でALK遺伝子の再構成が認められた。ALK阻害剤による治療可能性が期待される。 KRAS変異陰性の膵管癌の集積を行った。非常にまれな腫瘍であるため症例の選別に時間を要したが、RNAを用いたsanger sequencingおよびCycleave PCR法によりKRAS遺伝子を解析した膵腫瘍1644例より、十分量のサンプルを有する16例のKRAS陰性膵腫瘍を抽出した。このうち今回特に融合遺伝子関連の腫瘍として着目している粘液癌、および粘液癌の前がん病変であるintestinal-type IPMNについては8例を含んでいる。この他、対照症例としてKRAS変異陽性のintestinal-type IPMN12症例を解析に加えることとし、合計31症例、36サンプルをNGSによるシーケンス解析の対象とする。 シーケンスにはRNA targeted sequencing(53遺伝子の融合遺伝子解析)、DNA targeted sequencing(29遺伝子)を行う。膵癌に特化したパネルのデザインを行い、Ion Torrent sequencing法による解析を行っている。上記のtranscriptome解析で見出されたALKや今回注目しているNRG1はこのRNAパネルに含まれる。現在ライブラリーを調整しており、36例のうち33例でシーケンス可能なライブラリーを得ることができ、これを記述している時点ではシーケンス中である。 Validation cohortの準備を行った。KRAS変異陰性の膵腫瘍で、上記のNGS解析を行うには足りない組織量の検体を有する症例が90例ある。これらを用いて上記解析にて検出された融合遺伝子の検証実験に速やかに移行できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KRAS遺伝子陰性の膵管癌は非常に稀であるが、解析に必要な症例を集積し、30例以上の症例でシーケンス可能であることを確認できた。シーケンスのための遺伝子パネルのデザインも終了し、6月中にはシーケンス結果解析に移行できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在NGSによるシーケンスを行っており、その解析を7月末までに行う予定。腫瘍発生に重要と考えられる融合遺伝子については、準備したKRAS変異陰性膵がん90例のvalidation cohortで確認を行い、臨床病理学的解析を行う。これらのデーターをまとめ、報告書を作成し、論文にまとめる予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
KRAS遺伝子変異陰性膵癌という、希少な症例を対象としているため、症例の集積に時間を要した。しかし、解析可能な候補症例の集積を行うことができ、2020年度分の未使用の補助金は次年度に確実に使用する予定である。
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