研究実績の概要 |
補助事業期間全体を通じて、膀胱癌におけるUc.63+の意義に関する解析を行い、その発現増加が増殖能を亢進させること、逆に発現低下がアンドロゲン陽性尿路上皮癌細胞株においてシスプラチン感受性を亢進させることを明らかとした。また、胃癌における分子分類と腫瘍内多様性の関係について検討を行い、浸潤部を構成する組織型の数の多い症例や分化型と未分化型の混在する混合型の症例は臨床的に予後不良であり、癌幹細胞関連分子、 受容体型チロシンキナーゼ、細胞外基質作用分子と関連すること、染色体不安定型が多く見られることを示した。さらに、claspinやintelectin-1の消化管癌や泌尿器癌における臨床病理学的意義について明らかにした。 本年度は前立腺癌においてclaspinの高発現が臨床病理学的にhigh Gleason score、high T stage、リンパ節転移、去勢抵抗性前立腺癌と相関すること、細胞生物学的にAkt、Erk1/2、CHK1のリン酸化を通じて増殖活性を促進すること、ドセタキセル抵抗性を高めることなどを明らかにした。また、claspinは尿路上皮癌において、組織学的異型度の高いもの、high T stage、脈管侵襲像のある症例に有意に高発現することを見出し、細胞診を含めて組織診断の有用な鑑別診断マーカーとなりうることも明らかにした。さらにprotocadherin B9、aldolase, fructose-bisphosphate C、KIFC1、Schlafen 11、TDO2、ZWINTなど様々な分子について、消化管癌および泌尿器癌における臨床病理学的意義および生物学的意義を明らかにした。
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