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2021 年度 実施状況報告書

ピロリ菌関連慢性萎縮性胃炎から胃がんに迫るーインドネシアで胃がんが少ない理由-

研究課題

研究課題/領域番号 19K07436
研究機関大分大学

研究代表者

内田 智久  大分大学, 医学部, 助教 (70381035)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードヘリコバクター・ピロリ / CYP2C19 / インドネシア
研究実績の概要

Helicobacter pylori (ピロリ菌)感染による慢性炎症の持続 、特に萎縮性胃炎が胃がん発症に重要な役割を果たしている。アジアの胃がん発症率は国、地域によって大きな差があり、特に、インドネシア、タイでは胃がん発症率は本邦の1/10以下と非常に低い。本研究では、世界的に胃がんの少ないインドネシアの胃粘膜に着目し、慢性萎縮性胃炎を詳細に検討することで胃がんにつながる胃粘膜の病態解析を行い胃がん発症が少ない原因を明らかにする。2021年度はピロリ菌の除菌治療に重要な役割を果たすCYP2C19の多型について解析を行った。
CYP2C19は、ピロリ菌除菌治療薬であるオメプラゾール薬物の代謝に関わっており、CYP2C19*2, *3の2つの遺伝子多型は、薬効や副作用の予測に有用である。
インドネシアの多型解析では、CYP2C19*2は、46.4%がホモ接合型野生型、14.5%がホモ接合型変異型、39.2%がヘテロ接合型であった。CYP2C19*3では、88.6%がホモ接合型野生型、2.4%がホモ接合型変異型、9.0%がヘテロ接合型であった。全体として、インドネシアにおけるCYP2C19の高、中、低活性型の比率は、それぞれ38.5、41.6、および19.9%であった。低活性型では、アリル*2の頻度(78.8%)がアリル*3の頻度(21.2%)よりも高かった。民族間の比較では、パプア人は、バリ人よりも代謝が不十分である可能性が有意に高かった(OR 11.0; P = 0.002)。胃炎および胃食道逆流症の患者では、低活性型の比率は、急および中活性型と比較して低かった。
以上の結果から、ピロリ菌除菌でプロトンポンプ阻害剤を投与する際には、CYP2C19の遺伝子多型により投与量の調整を考慮する必要があることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

インドネシアのピロリ菌解析について、2021年度はピロリ菌の除菌治療薬であるオメプラゾールの代謝に関与するCYP2C19の遺伝子多型について解析し、インドネシア人のCYP2C19*2, *3の遺伝子多型の頻度を明らかにし、バリ人、パプア人の民族間の遺伝子多型の特徴を示した。このことから、ピロリ菌除菌でプロトンポンプ阻害剤を投与する際には、CYP2C19の遺伝子多型により投与量の調整を考慮する必要があることが示された。この結果は、
"CYP2C19 Polymorphisms in Indonesia: Comparison among Ethnicities and the Association with Clinical Outcomes", Biology, Vol.10, PMC8067412として論文発表した。

今後の研究の推進方策

さらに、ピロリ菌病原因子の解析、インドネシアのピロリ菌の薬剤耐性の解明を進めていく。
新型コロナウイルスの感染拡大のため、東南アジアに出向いてのサンプル採取や現地研究者とのディスカッションは難しい状況が続くと予想されるが、オンライン会議等で連絡を密に取りながら研究を遂行していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、インドネシアをはじめとしたアジアの研究者との直接の議論が困難であった。また、上記理由によりサンプル採取と解析が遅れたため、次年度使用額が生じた。2022年度には、解析を進めるとともに、研究のまとめを行う計画のため、次年度使用額については、その費用として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] アイルランガ大学(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      アイルランガ大学
  • [国際共同研究] チュラロンコン大学/タマサート大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      チュラロンコン大学/タマサート大学
  • [雑誌論文] CYP2C19 Polymorphisms in Indonesia: Comparison among Ethnicities and the Association with Clinical Outcomes2021

    • 著者名/発表者名
      Miftahussurur M., Doohan D., Syam A. F., Nusi I. A., Subsomwong P., Waskito L. A., Maulahela H., Akil F., Uwan W. B., Siregar G., Fauzia K. A., Rezkitha Y. A. A., Rahman A., Wibawa I. D. N., Saudale A. M. J., Richardo M., Sugihartono T., Chomariyati A. Bramantoro T., Uchida T., Yamaoka Y.
    • 雑誌名

      Biology

      巻: 10 ページ: 300~300

    • DOI

      10.3390/biology10040300

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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