研究課題/領域番号 |
19K07440
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50285582)
|
研究分担者 |
及川 寛太 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (00405804)
佐藤 孝 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20170756)
赤坂 祐一郎 岩手医科大学, 医学部, 任期付助教 (70838507) [辞退]
田中 文隆 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (80405761)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | IgA腎症 / renin-angiotensin-system / 糸球体障害 |
研究実績の概要 |
レニン-アンジオテンシン系 (RAS) がIgA腎症の進展に関わっている事が示されてきたが、それぞれのRAS構成分子の糸球体における発現状態と糸球体障害の関連について詳細に検討した報告を認めない。そこで、本研究ではIgA腎症例の腎組織を対象として、腎糸球体におけるRAS構成分子の発現を中心とした分子変化を明らかにし、IgA腎症の治療を改善する基盤を確立することを目的とした。これまでIgA腎症例15例、正常腎として腎移植のドナー腎0 hourの5例を対象にRAS構成分子であるprorenin receptor (PRR)、angiotensin converting enzyme (ACE)、anigiotensin type 1 receptor (AT1R)、angiotensin type 2 receptor (AT2R) について免疫染色を行った。その結果、正常腎に比較し、IgA腎症の糸球体においてPRR、ACE、AT1Rの発現が増加しているのを認めた。特にPRR、AT1Rは足細胞マーカーであるWT-1陽性細胞で発現の増加を認めた。ACEは内皮マーカーであるCD34陽性の細胞で発現していた。AT2Rの発現は明らかな変化を認めなかった。また、angiotensinogen (AGT) はIgA腎症5例で一部のWT-1陽性の足細胞で発現が増加しているの認めた。更にIgA腎症例5例と正常腎3例についてangiotensin converting enzyme 2 (ACE2) の発現と酸化ストレスマーカーである8-OhdG (8-hydroxy-2’-deoxyguanosine) について検討した。糸球体でのACE2の発現は正常腎と比較し、IgA腎症例で有意な発現の変化を認めなかったが、8-OHdGの発現は検討したIgA腎症例全例で発現の増加を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病理診断業務および教育のため、研究に十分に時間をとることができなかった。 主なRAS構成分子として上記に示したPRR、AGT、ACE、ACE2、AT1R、AT2R について検討しているが、予定した検討例に達していない。更にAngiotensin II (Ang II)、Mas receptorについても検討中であるが、結果の方向性が得られていない。また、RASの発現状態と酸化ストレスの発生状態の関連の検討のために8-OHdGについては検討したが、4HNE、SOD2の発現については有用な結果が得られていない。更にRASカスケードへの関連が予想される分子であるTGF-β、p-Erk1/2、p-Aktについても数例染色したのみで、他の分子も含めて計画に沿った十分な検討が行われていない。また、組織的な上記分子の発現結果と糸球体障害の程度や臨床データとの関連についても検討が進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
目標とした検討例は順調に集まっているので、RAS構成分子の発現について更に検討を進める。また、酸化ストレスの発生状態とRASカスケードへの関連が予想される分子についても、計画に挙げた分子を含め、検討症例数を増やし、免疫染色を行い、検討を進める予定である。更に、糸球体における上記分子の発現結果と糸球体障害の程度や臨床データとの関連についても検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究計画がやや遅れているため、繰越し金が生じてしまった。 (使用計画) RAS構成分子の発現状態と酸化ストレスマーカーの検討を更に進めるため、抗体を含めた試薬を購入し、研究代表者を中心に検討を進める。また、RASカスケードへの関連が予想されている分子についても抗体を購入し、検討を進める。また、対象となった症例の臨床データも収集し、検討を進める。
|