FAM64A発現量は細胞周期G2/M期に増加していた。一方FAM64A陽性トリプルネガティブ乳癌(TNBC)症例と陰性TNBC症例で有意なKi-67 index差は無いことから、FAM64Aは単なる細胞周期因子ではなく細胞周期の一時期に核内蛋白への特異的作用を有する因子である可能性が考えられた。そこで強制発現系にてFAM64A結合蛋白を回収し質量分析した結果、SWI/SNF因子などが同定され、特異抗体を用いた二重染色では核内に共局在を呈した。以上から、FAM64AはFAM64A陽性TNBCにおいてDNA複製やDNA修復に関わる因子に作用し、TNBCの高い細胞増殖能を支えているものと推測された。
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