研究課題
前年度までにFISH施行可能な施設における診断感度向上を目指して、胸膜中皮腫(MPM)と反応性中皮過形成(RMH)の鑑別において、NF2 FISHの組織標本および細胞診標本への応用に取り組み、特異度は100%に保ちながら診断感度を上げるという良い結果を得ることができた。しかしこれまでは単一施設での検討だったので、2021年度は多施設共同研究によってNF2 FISHの有用性が同様に確認できるか検討した。福岡大学病院病理部・大阪はびきの医療センター病理診断科・兵庫医科大学病理学講座分子病理部門・国立病院機構近畿中央呼吸器センター病理診断科・広島大学大学院医歯薬保健学研究科病理学研究室・東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科で診断された胸膜中皮腫124例(組織標本症例70例、セルブロック症例54例)、反応性中皮過形成47例(組織29例、セルブロック18例)を用いた。MPMとRMCの鑑別における各診断アッセイの特異度は100%で、感度はセルブロックではNF2 FISHで51.9%(組織54.7%)、9p21 FISHで61.1%(同67.7%)、MTAP IHCで52.8%(同61.9%)、BAP1 IHCで60.4%(同69.4%)、BAP1 IHC+9p21 FISH、BAP1+MTAP IHCの組み合わせでは、感度はそれぞれ 87.0%(同88.6%)と 83.3%(86.8%)へ上昇した。NF2 FISH+9p21 FISH+BAP1 IHC の組み合わせでは、感度は98.1%(同100%)とさらに上昇した。上記のごとく多施設共同研究にても組織・細胞診標本ともに、これまでの9p21 FISH, BAP1 IHCにNF2 FISHを併用することによって、特異度100%を維持しつつ、診断感度を100%近くにまで上げることが示された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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