研究課題
遠隔転移病変を持つ大腸癌患者の5年生存率は依然として20%程度と低い。腫瘍が転移能を獲得する際の特徴の1つとして上皮間葉転換EMTが知られており、ビメンチンはEMTのバイオマーカーとして実臨床で用いられている。さらに、腫瘍が浸潤する際の前線invasion frontにおける細胞ストレスはビメンチンをリン酸化する。複数の健常成人から、リン酸化ビメンチンS39、リン酸化ビメンチンS72,S83ペプチドに反応するCD4陽性ヘルパーT細胞を樹立した。拘束分子は、HLA-DR14,HLA-DR53分子であった。これらのT細胞は、リン酸化部位を有さない野生型ビメンチンペプチドには反応しなかった。リン酸化ビメンチンペプチド反応性ヘルパーT細胞が、実際の腫瘍細胞に反応するかどうか検討した。事前にこれらのリン酸化ビメンチン抗原蛋白質が腫瘍細胞に発現しいるかどうかをウェスタンブロットで検討したところ、大腸癌細胞株(SW839)や肺癌細胞株(Calu1,Lu65)に認められたため、これらを標的腫瘍細胞とし、樹立されたヘルパーT細胞が直接認識し、各種サイトカインを放出可能か検討した。リン酸化特異的CD4陽性T細胞クローンは、リン酸化ビメンチン陽性の腫瘍細胞株を直接認識し、GM-CSFやインターフェロンγなどを放出した。更に細胞障害活性を持つサイトカインであるグランザイムBを産生した。これらの反応は抗MHCクラスII抗体により有意に抑制された。樹状細胞(DC)は生体内で壊死やアポトーシスに陥った腫瘍細胞を貪食し、癌抗原ぺプチドをT細胞に提示することが知られている。腫瘍細胞ライセートをパルスしたDCを抗原提示細胞として、リン酸化ビメンチンペプチド特異的ヘルパーT細胞と共培養すると、T細胞は反応しインターフェロンγを産生したが、これらの反応は抗MHCクラスII抗体により有意に抑制された。
2: おおむね順調に進展している
樹立したT細胞が、ビメンチンを発現する大腸癌細胞に反応生を示し、患者群末梢血中にビメンチン反応生T細胞を見いだしている。
マウスモデルで、ビメンチンペプチドに反応するT細胞を分離する。
すべて 2020
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Cancer Immunology Immunotherapy
巻: 69 ページ: 989-999
10.1007/s00262-020-02524-9.