研究課題
子宮内膜癌における腫瘍内ホルモン濃度(エストロゲン:エストロン、エストラジオール、アンドロゲン:テストステロン、ジハイドロテストステロン、グルココルチコイド:コルチゾール)と細胞老化マーカーの発現、子宮内膜癌の性質を表す種々の因子との関係を検討した。子宮内膜癌組織の凍結およびホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)組織を用いた。凍結組織からLC-MC/MSにてホルモン濃度を測定し、FFPE組織を用いて細胞老化マーカーの免疫組織化学を行った。本研究では2つの細胞老化マーカーとして知られるサイクリン依存性キナーゼ 阻害にかかわるp16とp21について検討した。細胞老化の誘導にはp53-p21 経路およびp16-pRB 経路が重要な役割を持つ.とくにp16 は細胞周期を不可逆的に停止させるマスター因子であり、現在最も確かな細胞老化のマーカーのひとつと考えられている。また、子宮内膜癌の分類に関連する因子であるミスマッチ修復因子(MLH1、MSH2、MSH6)およびP53の発現についても、それぞれ免疫組織化学にて検討した。なお、ミスマッチ修復因子の一つであるPMS2については、現在、染色条件を検討中のため、データがない。各マーカー間の相関や組織型との関連など、現在解析を進めている。ホルモン濃度との関係については、腫瘍内コルチゾール濃度と細胞老化マーカーとの関連が認められた。前年の結果では疲弊Tリンパ球のコルチゾールとの関連が見出されており、前年の成果と合わせて、腫瘍内のコルチゾールはTリンパ球や癌細胞そのものの細胞老化と関連することが明らかとなった。その意義について、さらなる検討が必要である。現在、腫瘍免疫にかかわるPD-L1とPD-1の免疫組織化学を実施しており、合わせた解析を行う予定である。
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Pathology - Research and Practice
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日本産婦人科医会研修ノート
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