研究課題
本年度は前回科学研究費(LentiPlexを利用したTN乳癌の新たな組織学的亜分類の試み 15K08339)の継続として、いまだ解析中であったいくつかのシーズ(候補遺伝子)に関して,免疫組織学的発現と臨床病理学的予後因子などの解析を行った。Carboxypeptidase A4に関しては論文化し、さらにFibrillin 2 (FBN2)に関して解析を進めた。研究費で機器を更新したしたマイクロアレイ作成装置を用いて、症例を増やし、また解析途中候補遺伝子発現に関しても検索を続ける予定である。fibrillin-2(FBN2)に注目した。乳癌213症例でのFBN2発現を免疫染色法で評価し、その発現と臨床病理学的因子、予後との関連を検討した。FBN2は細胞外基質の糖タンパク質であるが、乳癌細胞の細胞質での発現が認められた。乳癌 213症例においてFBN2高発現群(n=50)は低発現群(n=163)と比較してKi67 LIが高値であった。またVimentinや静脈侵襲との関連が認められ、予後に関しても低発現群と比べて不良であった。FBN2はTGFβとの相互作用が報告されており、乳癌におけるFBN2の発現は増殖や転移に寄与していると考えられる。今年は新たにTN乳癌の治療に深く関係するPDL-1、 TILsの染色、組織学的評価を行った。今後はこれらの因子の解析のまとめに加えて、さまざまな組織学的な因子を加えて、いわゆるパネル診断の可能性を模索する。
2: おおむね順調に進展している
今回の科学研究は最終的に様々なシーズの探索、病理学的発現の検討を広げつつ、TN乳癌組織のパネル診断にまで応用しようという試みである。その前段階の解析を進めている状況である。多くのデーターをどのように解析するが問題となる。
いくつかの候補因子に関して、予後因子としてのvalidation、組織学的解析が終わった段階で、組織学的因子やPDL-1などの重要な因子を加えて、それらの組み合わせによるパネル診断の可能性を探る。
消耗品が少量であったので、少額が保存された。事前度繰り越しで問題ない。
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Int J Oncol.
巻: Mar;54(3):833-844. ページ: 833-844.
10.3892/ijo.2019.4675.