研究課題/領域番号 |
19K07456
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小山 徹也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50233622)
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研究分担者 |
片山 彩香 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60815695)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳癌 / トリプルネガティブ / 次世代シークエンサー / PDL-1 / TILs |
研究実績の概要 |
本年度は前回科学研究費(LentiPlexを利用したTN乳癌の新たな組織学的亜分類の試み 15K08339)の継続として、いまだ解析中であったいくつかのシーズ(候補遺伝子)に関して,免疫組織学的発現と臨床病理学的予後因子などの解析を行った。さらにFibrillin 2 (FBN2)に関して解析を進めた。fibrillin-2(FBN2)に注目した。乳癌213症例でのFBN2発現を免疫染色法で評価し、その発現と臨床病理学的因子、予後との関連を検討した。FBN2は細胞外基質の糖タンパク質であるが、乳癌細胞の細胞質での発現が認められた。乳癌213症例においてFBN2高発現群(n=50)は低発現群(n=163)と比較してKi67 LIが高値であった。またVimentinや静脈侵襲との関連が認められ、予後に関しても低発現群と比べて不良であった。FBN2はTGFβとの相互作用が報告されており、乳癌におけるFBN2の発現は増殖や転移に寄与していると考えられる。論文化を目指しているが、残念ながら進んでいないので、来年の課題となった。 本年度はこれらのシーズにTN乳癌の治療に深く関係するPDL-1、TILsの染色、組織学的評価を行った。今年度はPDL-1、TILsとFGD-PETの所見やVEGF発現などとの関連性を認め、発表した(論文参照)。PDL-1はVEGF発現と関係し、VEGFはPDL-1陽性腫瘍において、low TILsと関連した。またFGD-PETのSUVmaxの値は、PDL-1やHigh TILsと関係した。来年度はこれらの因子を含めた、諸因子の関連性の解析し、TNBCの分類や診断にまで広げて解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の科学研究は最終的に様々なシーズの探索、病理学的発現の検討を広げつつ、TN乳癌組織のパネル診断にまで応用しようという試みである。その前段階の解析を進めている状況である。多くのデーターをどのように解析するが問題となる。今後は昨年度研究したPDL-1 TILsなどの因子も加えて解析する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
いくつかの候補因子に関して、予後因子としてのvalidation、組織学的解析が終わった段階で、組織学的因子やPDL-1などの重要な因子を加えて、それらの組み合わせによるパネル診断の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品が少量であったので、少額が保存された。事前度繰り越しで問題ない。
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