研究課題/領域番号 |
19K07462
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
相島 慎一 佐賀大学, 医学部, 教授 (70346774)
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研究分担者 |
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
平岡 伸介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40276217)
能城 浩和 佐賀大学, 医学部, 教授 (90301340)
杉町 圭史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 肝胆膵外科医長 (90452763)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CD8 / 肝細胞癌 / 肝炎ウイルス / 免疫微小環境 |
研究実績の概要 |
HCVに対する直接抗ウイルス剤使用による持続的ウイルス学的著効の状態(SVR)が肝発がんと腫瘍形成に与える影響を明らかにすることを目的とした。2011年から 2018年に肝癌に対して外科切除された肝細胞癌症例に対して、肝癌組織の分化度、腫瘍径、脂肪化の程度、炎症細胞浸潤の程度、血管侵襲の有無、非腫瘍部の肝障害の程度など)を評価した。代表的切片を選択した後、腫瘍内および非腫瘍部に浸潤しているTリンパ球に対するCD8抗体による免疫染色を147例に対して行い、画像解析ソフトにより解析した。非癌部のリンパ球浸潤614.8(81.7-1971)、非癌部CD8陽性細胞160.7(5.3-601.7)、非癌部CD8陽性細胞割合27.9%(3.9%-65.4%)で、癌部の炎症細胞浸潤417.3(53.7-1858.6)、癌部CD8陽性細胞46.1(0-311.3)、癌部CD8陽性細胞割合13.2%(0-63%)であった。 上記の細胞数と年齢、性別、組織分化度、肉眼型、多発・単発、腫瘍径との間に統計学的有意差は見られなかった。非癌部の炎症細胞浸潤とCD8陽性細胞はいずれもHCV群でNBNC群よりもリンパ球浸潤が多かった。一方で、癌部のリンパ球浸潤、CD8陽性細胞はHCV群、HBV群、NBNC群で統計学的に有意差は無かった。HCV群においてSVRの有無について比較したところ、非癌部のリンパ球浸潤、CD8陽性細胞はSVRなし群はSVRあり群に比べて高かった。癌部のリンパ球浸潤はSVRなし群はSVRあり群に比べて高かったが、癌部CD8陽性細胞はSVRの有無により有意差はなかった。非癌部および癌部のリンパ球浸潤はSVRにより有意に減少するが、CD8陽性細胞数は有意差は見られなかったことから、HCVウイルス排除後にもCD8陽性細胞が腫瘍内微小環境に影響を与得ている可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で、実験に関わる試薬および染色機材の納入遅れが生じたこと、染色装置のトラブル時に業者による機器の修理などにも遅延が生じ、計画よりも 進行が遅れている。現在は順調に回復しており、研究遂行に支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
患者情報、癌細胞の形態学的特徴と腫瘍内リンパ球、CD8陽性細胞との関連性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ関連の物品の購入の遅れにより、実験計画に遅れが生じたため次年度に繰り越し、物品購入することとした。
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