研究課題
多機能新規3細胞間タイト結合分子angulin-1/LSRは、正常細胞の上皮バリアの維持だけでなく、その発現変化は様々な癌の悪性化への関与が考えられる。そこで今回我々は、我々が確立したヒト正常肺上皮細胞およびangulin-1/LSRを高発現している肺腺癌細胞株を用いて、正常および癌細胞における役割および発現調節メカニズムを多面的に解析した。本年度の研究成果としては、肺腺癌細胞株A549において、angulin-1/LSRをsiRNAを用いて発現低下により肺腺癌に高発現し悪性化に関与の知られているリーキー型タイト結合分子claudin-2をEGFシグナル依存性に誘導した。さらに癌のワールブルク効果として知られ、ミトコンドリア呼吸能で示される細胞代謝をTGF-betaシグナル依存性に亢進させた。これらの変化は抗腫瘍効果のあるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤Trichostatin A (TSA) and Quisinostat (JNJ-2648158)処置により阻害されるとともに、癌の悪性化を示す細胞増殖および細胞遊走も抑制することができた。正常肺上皮細胞においては、TSAおよびQuisinostat処置によりangulin-1/LSR、claudin-2,-7の増加およびclaudin-1の低下がみられた。以上のことは、多機能新規3細胞間タイト結合分子angulin-1/LSRは、肺腺癌において、EGF, TGF-beta, HDACシグナルを介して悪性化に関与していると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件)
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