研究課題
肺癌の治療戦略は抗PD-1/PD-L1抗体治療(免疫治療)を加えた治療標的層別化による個別化医療の時代を迎えている。しかしながら、免疫治療不応性を示す患者も多く存在し、進行期肺癌の治療成績は依然極めて不良である。申請者は、Automated tissue micro-dissection punching systemにより、空間情報を保持したまま百細胞程度の微量細胞をホルマリン固定パラフィン包埋検体から採取する技術と集団免疫治療完全寛解例及び治療不応群の患者サンプルを用い、50-100μm程度の微小領域の多領域シーケンスと両者の発現プロファイルの差異を全トランスクリプトーム解析施行により、包括的に解析した。その結果、免疫治療完全寛解例では、MT-ATP8低発現とMZB1 が高発現することが示された。MT-ATP8はミトコンドリアDNAであるが、近年、mtDNAの損傷を感知して核に伝える機構が明らかとなり、放射線や薬剤によるmtDNA損傷がインターフェロン等の免疫応答のドライバーとなる可能性が示され 、細胞小器官と核のコミュニケーション機構の解明はがんの新規治療法開発に繋がる可能性が高い。さらに、MZB1は形質細胞様樹状細胞が最も発現し、その他、メモリーB細胞も発現するが、これまで機能が明らかとされていない形質細胞様樹状細胞との免疫応答の解明の先には臓器横断的な免疫治療が成立する可能性が示された。
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