パンデミック感染症に対するワクチン開発や癌免疫療法では、最終的にはいかに強靱な抗原特異的T細胞(特にCTL)を誘導・維持できるかが鍵となる。しかし、「免疫記憶」が免疫システムにおける最も大きな特徴の一つであるにも関わらず、CTL分化の分子基盤の理解は脆弱である。これまでの細胞分化時に多数の遺伝子の発現を秩序よく調節するためには、転写因子やエピジェネティック変化はランダムではなく、連携的かつ統合的に作用する必要がある。我々のBATF機能解析成果は、CTLリプログラミングの鍵となる分子やゲノム領域を同定することを通じて、T細胞関連難治性疾患に対する新規の診断・予防・治療法の開発に貢献できる。
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