研究課題/領域番号 |
19K07483
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
倉林 睦 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 准教授 (40346713)
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研究分担者 |
柿沼 由彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40233944)
井上 啓史 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00294827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エネルギー産生 / 糖代謝 / 肝臓 / クエン酸回路 / 解糖系 / 副交感神経 / 虚血再灌流モデル |
研究実績の概要 |
昨年度は、PDHの酵素活性がIRにより亢進し、解糖系からクエン酸回路機能亢進をもたらすことを示し、アコニターゼ活性亢進・フマル酸含有量亢進を確認し、IRが能動的にクエン酸回路を回転させ、糖を基質とするエネルギー産生への移行を促進することを示した。 一般的に肝臓では、主にglucose transporter(GLUT)2による糖取り込み・放出によりその恒常性が制御される。しかし、我々の検討では、IRによる糖取り込みにおいては、GLUT4の発現亢進を介すことが示唆されている。これらの結果はwestern blottingでの検討にとどまっていることから、m-RNAの発現、IRがもたらす組織学的な変化等、IRが肝においてもたらす糖取り込み分子に関する詳細の検討を本年度の目標とした。 始めに、IRはqRT-PCR、免疫組織化学的解析の双方でGLUT4の発現を更新させる一方で、GLUT2発現に影響を与えないことを明らかにした。加えて、組織学的に門脈周辺域(zone1)におけるglycogenの著明な貯留をもたらすことを示した。この機序としては、zone1~2領域においてもGLUT4の発現亢進がみられること、昨年度までに明らかにしたIRの有するglucoseを基質としたエネルギー産生亢進に関する結果も合わせ、本来糖新生・脂質代謝優位の門脈周囲領域において、糖取り込みの亢進、相対的なglucoseを基質としたエネルギー代謝亢進が起こりGlycogenの蓄積がもたらされたものと考えた。さらに、C57BL6マウス由来初代培養肝細胞を用いてacetylcholine(ACh)処理により、細胞膜分画での特異的なGLUT4発現が亢進することを示し、IRにより発現の亢進したGLUT4は糖取り込みに関与しうること、また、IRに伴うコリン作動系亢進がGLUT4の発現亢進に関与することを示唆した。
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