研究実績の概要 |
グリア細胞特異的カルシニューリンノックアウトマウスを用いて以下の実験を行った。 (1)小腸グリア細胞と神経細胞・上皮細胞との細胞間相互作用の異常の解析 (1ー1)小腸グリア細胞の異常の解析:前年度までに、ノックアウトマウス由来の小腸グリア細胞単離培養系におけるS100B, NF-κB p65, GFAPの発現上昇を確認している。そこで、NF-κB p65のリン酸化及びNF-κBによる転写制御を受けるiNOSの発現量を解析したところ、どちらもノックアウトマウス由来小腸グリア細胞で増加しており、この細胞が活性化している側面があることが示された。(1ー2)小腸グリア細胞と神経細胞との細胞間相互作用の異常の解析:小腸初代培養系における神経細胞数を解析したところ、ノックアウトマウス由来培養系で神経細胞数に変化は見られなかった。(1ー3)小腸グリア細胞と上皮細胞との細胞間相互作用の異常の解析:小腸グリア細胞と上皮細胞 (Caco-2) を共培養し、上皮細胞のバリア形成を評価する実験系を確立した。 (2)肝臓の星細胞や組織構造の異常の解析:前年度までに、ノックアウトマウスの肝臓において星細胞数が減少していることを確認している。そこで、Western blottingによってGFAPの発現量を解析したところ、ノックアウトマウスで減少していた。肝星細胞から分泌され肝星細胞の活性化や肝臓の線維化に関与するTGF-β1の発現量を解析したところ、ノックアウトマウスで増加傾向が見られた。ただし、線維化を検出する組織染色を行っても肝臓の線維化は見られなかった。 (3)膵臓の星細胞や組織構造の異常の解析:ノックアウトマウスの膵臓において、星細胞数とGFAP発現量が減少していることを確認した。組織学的解析を行うと、腺房細胞が萎縮している例が見られた。
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