研究課題
正常免疫動物に生着可能なラット去勢抵抗性前立腺癌細胞PLS10からOligo dT法によりmRNAを精製し、常法に従ってdouble strand cDNAを作成後、CloneMiner II cDNA library construction kitを用いてEntry vector pDONR222への導入を行なった。作成されたcDNA libraryのtiterは1.94×106 cfu/mlであり、キットのマニュアルに記載されている期待値 (5×10e6-1×10e7 cfu/ml)を若干下回っていたが、2.0kb RNA control, positive control, negative controlのtiterは基準値を満たしていたことから、libraryを導入した大腸菌の大量培養を行い、cDNA library plasmidを調整してその後のdestination vectorへの組み換えに進むこととした。上記のcDNA library作成と同時に個々の遺伝子発現ベクターの作成も実施した。免疫回避機構がないと考えられるPLS20, 30に比較してPLS10細胞で有意に高発現している遺伝子群の中で、免疫機能に関連する報告のあるもの上位から9遺伝子をマイクロアレイデータから抽出し、それぞれ定量的RT-PCRによりその発現量を確認した。その結果、9遺伝子中5遺伝子でマイクロアレイデータと同様の発現パターンが確認でき、そのうち30-270倍の発現差が見られる3遺伝子についてpCMV-Tag2を用いて発現ベクターを構築した。現在、PLS30に遺伝子導入し、安定発現株を樹立しているところである。
3: やや遅れている
cDNA library作成に用いるCloneMiner II cDNA library construction kitの在庫が当初はなく、新しくキットを作成したために供給元からの納品が数カ月遅れ、研究の進展にやや遅れを生じている。また、新型コロナウイルス感染の蔓延に伴い、名古屋市立大学における新規動物実験は停止されており、さらなる研究の遅れが生じる可能性がある。
本研究では正常免疫を有するラットを用いることが必須であるため、新型コロナウイルス感染の収束に伴って新規動物実験が再開された際にすぐに実験に着手できるように、cDNA libraryのdestination vectorへの組み換えを完了し、さらにマイクロアレイデータから抽出した数種の遺伝子についてPLS30における安定発現株を樹立しておくように研究を進める。
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Nutrients
巻: 12 ページ: 558
10.3390/nu12020558
Carcinogenesis
巻: 41 ページ: in press
10.1093/carcin/bgz193
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/patho1.dir/index.html