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2019 年度 実施状況報告書

マウス急性肝炎を制御するホルモンの同定ーレプチンによる急性肝細胞障害の調節

研究課題

研究課題/領域番号 19K07487
研究機関北里大学

研究代表者

川村 俊彦  北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70301182)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードNKT細胞 / 肝臓 / 肝炎 / alpha-galactosylceramide / レプチン
研究実績の概要

糖脂質である α-ガラクトシルセラミド(α-galactosylceramide:α-GalCer)は、NKT細胞を特異的に活性化するが、これをマウスに投与すると、肝臓の NKT 細胞が活性化し、その自己反応性により、正常な自己肝細胞を殺傷して急性の肝炎を誘導することを研究代表者らは見いだし、急性肝炎マウスモデルとして確立した。しかし、この NKT 細胞依存性肝炎のメカニズムは完全には解明されていない。最近研究代表者は、この肝炎発症時、早期から、食欲調節ホルモンであるレプチンの血中濃度が著しく上昇することを確認しており、この肝炎モデルの病態に、レプチンが関与すると推測していた。本研究では、レプチンの、NKT 細胞依存性肝炎の病態に及ぼす影響と、そのメカニズムについて明らかにすることを目的とする。

2019年度は、レプチンの NKT 細胞依存性肝炎の病態に与える影響を調べるため、レプチン欠損(ob/ob)マウスおよびレプチンレセプター欠損(db/db)マウスを用いた解析を行った。ob/obマウスおよび db/dbマウスにα-GalCerを投与し、NKT 細胞依存性肝炎を発症させたところ、血清 AST値および ALT値が、対照群と比較し、有意に低下していた。また、組織学的に、これらのマウスでは、肝臓において炎症細胞の数が、対照群と比較し、有意に低下していた。つまり、ob/obマウスおよび db/dbマウスでは、肝炎の程度が軽いことがわかった。これらの結果は、レプチンが機能しない状況では、肝炎の軽症化が見られ、レプチンが NKT 細胞依存性肝炎の病態を調節することを示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

レプチンは視床下部のレプチンレセプターに結合して食欲調節に関与するが、それ以外に免疫細胞等にもレプチンレセプターが発現され、炎症などにも関与することが示唆されており、急性肝炎モデルの病態を悪化させることを予想していたが、レプチン欠損マウス(ob/ob)マウスおよびレプチンレセプター欠損マウス(db/db)マウスを用いた解析により、予想通り、レプチンが急性肝炎の病態を悪化させることを示唆する結果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

2019年度において、レプチン欠損(ob/ob)マウスおよびレプチンレセプター欠損(db/db)マウスを用いた解析により、レプチンが急性肝炎の病態を悪化させることを示唆する結果を得ることができた。2020年度は、正常マウスにレプチンを投与し、レプチン過剰状態において肝炎が悪化するかどうか、また、正常マウスに抗レプチン抗体および抗レプチンレセプター抗体を投与し、レプチンが機能しない状態で肝炎が軽症化するかどうかについて解析を進める。また、レプチンが急性肝炎を悪化させるメカニズムについての解析にも着手したい。

次年度使用額が生じた理由

研究がおおむね順調に進行し、当初購入を予定していた実験動物、試薬等を最小限度に抑えることができたため、次年度以降に使用することとした。次年度以降、遺伝子改変動物、サイトカインなど、比較的に高額な物品等を購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 抗癌剤シスプラチンに対するリンパ球サブセットの抵抗性2019

    • 著者名/発表者名
      矢島悠介、山森有紗、川村俊彦
    • 学会等名
      第32回 北里大学バイオサイエンスフォーラム
  • [学会発表] LRRK2 欠損マウスにおける T 細胞サブセットの異常2019

    • 著者名/発表者名
      山森有紗 、矢島悠介、川上文貴、市川尊文 、川村俊彦
    • 学会等名
      第32回 北里大学バイオサイエンスフォーラム
  • [学会発表] 肝臓の自然リンパ球は抗癌剤シスプラチンによる細胞死に対して抵抗性をもつ2019

    • 著者名/発表者名
      矢島悠介、山森有紗、川村俊彦
    • 学会等名
      第30回 日本生体防御学会学術総会

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公開日: 2021-01-27  

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