昨年度の結果により、レプチンがNKT細胞を直接刺激し、TNF-αの産生を誘導して肝炎を悪化させることが明らかになった。しかし、NKT細胞上のレプチンレセプターの発現を解析した際、肝臓の組織全体におけるレプチンレセプターの発現を免疫組織染色で調べたところ、NKT細胞などの白血球よりも、むしろ肝細胞に強い発現がみられた。このことから、レプチンが肝細胞に作用する可能性も排除できない。肝細胞がレプチンレセプターを発現することから、レプチンが肝細胞に作用し、細胞死を誘導している可能性について追及した。
正常マウスの肝臓より、酵素処理によって肝細胞を分離した。分離した肝細胞の培養系にレプチンを添加したところ、肝細胞のアポトーシスが誘導された。更に、このアポトーシス誘導は、抗レプチンレセプター抗体添加によって阻害された。また、レプチンレセプター欠損(db/db)マウスの肝細胞では、レプチン添加によってアポトーシスは誘導されなかった。以上により、レプチンレセプターを発現する肝細胞は、レプチンによってアポトーシスが誘導されることが明らかになった。
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