エクソソームの長期体内動態の解明は、その生体機能を明らかにする上で重要である。これまでエクソソームの体内動態解析は、精製エクソソームを大量かつ一過的にマウスへ導入することで行われてきた。しかしながら、投与量や投与経路によって異なる体内動態を示すことが知られており、本来のエクソソーム動態を反映しているか疑問が持たれている。そこで我々は、生体イメージング用BRET(Bioluminescence Resonance Energy Transfer)レポーターAntares2によるエクソソーム標識とゼノグラフトモデルを組み合わせることで、がん細胞由来エクソソームの定量的in vivoイメージングを試みた。がん細胞にCD63-Antares2を発現することにより産生エクソソームの効率的なAntares2標識化が可能であり、Antares2標識化エクソソームは、生体イメージングに適した強い長波長光を産生した。このCD63-Antares2発現細胞を用いた皮下移植モデルは、血中エクソソーム及び、臓器や組織へ取り込まれたエクソソームの発光定量解析を可能とした。さらに、エクソソーム産生阻害活性を示すチロシンキナーゼ阻害剤Dasatinibの投与により、血中や集積臓器におけるエクソソーム由来発光量の顕著な低下が認められた。これらのことから、CD63-Antares2を用いたゼノグラフトマウスモデルは、エクソソームの体内動態解析やエクソソーム阻害薬の生体評価モデルとして有用であると考えられる。
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