研究成果の概要 |
研究代表者らCRY-時計遺伝子研究グループは,確立した変異型CRYの糖尿病モデルマウス(TGと略称)を用いて,膵島のリモデリングや前癌病変の生成の全体像の解明を主目的に研究を実施し,病態進展期のTGで新しい知見を得た。主な結果として下記の2点が示唆された:(1) 膵δ細胞が膵β細胞の主な供給源となりうること及び:(2) TFF2タンパク質が膵β細胞の量の維持に重要な役割をし,膵β細胞が膵管様の形質に転換しうる膵島内微小環境の形成に寄与する可能性である。 また, 新たに特定したCRY蛋白質複合体を構成する新規のタンパク質の機能を膵β細胞株MIN6や膵癌細胞株Panc-1を用いた実験系で解析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌の前駆病変が如何に生成されるかを明らかにする研究は広く行われ,一定の知見が得られている。しかしながら,膵β細胞の異常に起因した膵癌前駆病変の発生機序に関しては,未だほとんど明らかになっていない。 本研究に於いては,膵β細胞が障害され,膵ラ氏島に前癌病変が多発するユニークなマウスと,すでに広く活用されている各種細胞株の両方を研究対象として用いた。 プロテオミクス解析と網羅的発現解析から新たに特定した病態関連候補タンパク質の解析のアプローチから,膵島内微小環境,膵癌前駆病変,及び膵ラ氏島リモデリングの関係を具体的に明らかにした。
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